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LUXMAN JPC-15000を導入 - JPC-10000からの変化

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1. はじめに

現在、自宅の環境は上流から下流までLUXMANの機器で構成されている。これまで音質向上に寄与しやすい電源部分のグレードアップに取り組んできたが、ケーブルによる音質の味付けも必要と考えた。そこで以前、本ブログにてXLRケーブルであるLUXMAN JPC-10000を導入し、その音質を確認し印象を述べた。その記事の投稿直後にJPC-10000の上位ケーブルである「JPC-15000」が新たに発売されていた。

自身の環境では現状、JPC-10000の他にも一部の機器でBELDEN 1192AのXLRケーブルを使用している接続がある。そこで更なる音質のグレードアップのため、今回新たにJPC-15000導入に至ることとした。したがって本記事ではJPC-15000を適用した後と、これまでの1192AやJPC-10000との音質の変化について述べる。

 

2. 概要

JPC-15000は、7N-Class D.U.C.C.を芯線に用いていることが特徴のケーブルである。XLRタイプのほかにも、ラインケーブルとスピーカケーブルが同じ15000シリーズとして用意されている。D.U.C.C.を用いたケーブルの特徴として、参考文献の中には「D.U.C.C.導体を使ったケーブルの音は情報の欠落がなく、エネルギー感やボリュームが上がった」という報告がある。*1

 ケーブル自体の太さについては、自宅で使用しているケーブルの中でも最も大きいものとなった。また、端子はノイトリック社製であるが、JPC-10000より着脱が非常にスムーズで15000シリーズは、高品質なパーツが凝縮されている製品であると感じた。

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上からJPA-10000、JPA-15000、JPA-20000、JPC-10000、JPC-15000。

 

3. 接続環境

今回は、以下のパターンで音質を確認した。P-700uに接続するヘッドホンとしては、音質の変化が顕著に出やすいFocal Utopiaを代表とした。

①ES-1200 -- DA-06 --(BELDEN 1192A)-- P-700u -- Utopia バランス

②ES-1200 -- DA-06 --(LUXMAN JPC-10000)-- P-700u -- Utopia バランス

③ES-1200 -- DA-06 --(LUXMAN JPC-15000)-- P-700u -- Utopia バランス

 

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※なお、DA-06/P-700uには電源ケーブルJPA-15000、ES-1200にはJPA-20000を適用しているものとする。静電型についてはプリアンプを介するため、今回は省略とする。

 

4. 比較試聴

3.で示したダイナミック型の構成で聴いた際の印象を述べる。

①ES-1200 -- DA-06 --(BELDEN 1192A)-- P-700u -- Utopia バランス

②ES-1200 -- DA-06 --(LUXMAN JPC-10000)-- P-700u -- Utopia バランス

③ES-1200 -- DA-06 --(LUXMAN JPC-15000)-- P-700u -- Utopia バランス

 

③のJPC-15000では、輪郭がより鮮明となり一回り空間が大きくなったように感じた。遠くの方で鳴っている音は違和感なく耳に寄り添うようにかつ丁寧・繊細に鳴らすようになり空間表現がより自然になった。

それと共に、中低音が前面に出て迫ってくるような感覚で曲の付帯音が程よく分離されていることが分かった。これにより、曲自体の臨場・躍動感もより感じられるようになり、LUXMANらしい音をより活かすことが可能となった。また、高いキーのギター部分はこれのでシャカシャカしており頭の中で反響する形であったが、だいぶ緩和され落ち着いた。

②のJPC-10000の基本的な性能については「中低域の味付けと緻密で奥行きのある音楽表現」となるが、JPC-15000と比較した場合、音の艶と温かみが若干薄れてしまう印象であった。JPC-15000の適用により、例えば、艶においては弦楽器の音やドラムの音がより原音に近づき、温かみにおいては中低音の層が厚くなり音全体の体積から捉えるボリューム感が増した形となった。JPC-15000は1つ1つの音を崩すことなく、より綺麗に音を表現していることが確認できる結果となった。

 ①のBELDEN 1192Aでは、前回の試聴時と同様にナチュラルであるがJPC-15000と比較すると立体感は薄れるがボーカルと付帯音のスピードがはやい(キレがある)印象であった。ただし音自体の表現はしっかり分離はしていないため、時に曖昧で付帯音とボーカルが埋もれる場合もあるように感じた。しかし、もともとあくまでもナチュラルに表現するケーブルであるため過度な音楽表現を求めることも酷である。

4. まとめ

今回は、LUXMAN JPC-15000を導入し、これまで機器間を接続していたBELDEN 1192Aと、過去に導入済のLUXMAN JPC-10000との比較試聴を行った。

全体的にエネルギー感やボリュームの向上が期待できるD.U.C.C.は、LUXMANの音色をより引き出しているものと実感した。様々な音楽ジャンルに適用できるケーブルと考えられるが、今回の音質の強化により、特にジャズに没頭できるようになったと感じた。同時に、JPC-10000を適用したときよりもはるかに音質のグレードアップが図れたと感じられた。

 今回はダイナミック型のみの適用としたが、いずれ静電型へのシステムに対してもLUXMANのケーブルは順次展開していく予定である。

 

LUXMAN AVケーブル JPC-10000

LUXMAN AVケーブル JPC-10000

 

 

【2019年】新年のご挨拶と今年の抱負

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あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い致します。

 

1. 昨年の振返りと新年の抱負

2018年は、Focal Utopiaの導入からはじまりD8000やSUSVARAなど音の出口の部分について大幅に機器を更新した。

UtopiaやSUSVARAにおいては解像度が高くクリアで自分自身が好む音の傾向であり、SR-009と共に線の細いスッキリした音が楽しめている。D8000においては、これらのヘッドホンの音の特徴について考えを及ぼす時、基本的な音のトーンの低さから音の曇りや眠たさを感じることが多くなってしまい、解像度はありながら手放すきっかけとなってしまった。

ちなみに、2018年買ってよかったものは断トツで「Focal Utopia」であった。自宅のヘッドホンの中でもUtopiaが1番使用頻度が高く、2番目がSR-009、3番目がSUSVARAとなる。

 

また、2018年の豊富として本ブログで述べていたクリーン電源のES-1200の導入や、思いがけず入手したJPA-20000の導入など電源の分野にも大いに手を出すことができ、改めて電源の重要さに気付くことができた。それ以外にもKAWAIのステージピアノを導入し、全体的に音の分野の強化を行うことができた。

2019年は早速、劇場版ラブライブサンシャインの公開がはじまり、同時に虹ヶ咲学園も始動しているため引き続き音質向上を狙うべく、機器の更新を行っていく予定である。

具体的には、DACの大幅強化と同時にネットワーク化を推進していく方針である。近年はネットワーク再生が主流となっており、これによる音質向上も見込まれる。ネットワークトランスポートにDACが付随している製品であればコンパクトな構成となり運用しやすいと考えている。しかしながら、まず優先すべき項目としてはDACの強化とも考えており、現在のDA-06から更に解像度と広大な音場を提供してくれる製品に出会えればと臨んでいる。

※あくまで検討

 

その他、ケーブルなどの必要なアクセサリ類においてもハイエンドのものを取り揃え音質を調節していく必要があるとも認識している。

今後の目指す音質像としては、「音の解像度を基本とした広大な音場とLUXMANの音の持ち味を活かした躍動ある音との調和」をテーマに構成していく予定である。

 

 

2. 謝辞

2018年も当ブログに約63000アクセスをいただき、記事をご覧くださりありがとうございました(2017年は約17000アクセス)。今後もしばらくはヘッドホンオーディオに注力していく所存ですので、引き続き本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

2019年 1月

秋のヘッドフォン祭 2018に行ってきた -ULTRASONE Edition11、EMPYREAN、HiFiMAN ANANDAなどを試聴

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1. はじめに

秋のヘッドフォン祭 2018で今回も様々なハイエンドヘッドホンを試聴した。個人的に興味のある比較的新しいヘッドホンについて実際に試聴が行えたので、本記事では「試聴したハイエンドヘッドホン」の紹介と、「聴いた際の印象」を述べる。

 

2.試聴ヘッドフォンラインナップ

2018年春のヘッドホン祭で試聴したヘッドホンは6つある。

SRM-T8000 + LINE4 DACボード (STAX)

・EMPYREAN (MEZE)

・Edition11 (ULTRASONE)

・D8000 * model406 (final * マス工房)

LCD-4z (Audeze)

・ANANDA (HiFiMAN)

 

3. SRM-T8000 + LINE4 DACボード (STAX)

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STAXブースでは、ヘッドフォン祭直前にアナウンスされた拡張DACボードについて、現時点で試作版であるそうだが試聴できたため試聴に立ち寄った。SRM-T8000のリリース時に予めLINE4の拡張スロットが設けられており、フォノイコライザかDACを設けるかもしれない、という話があった。今回はDACが追加されたということでSRM-T8000のLINE4からSR-009とSR-009Sを試聴した。

これまで聴いたことのあるSRM-T8000越しの音と大きく変わらないSTAXらしいナチュラルな音域と滑らかな感触が特徴的であった。細かな繊細さはあまり感じず、自宅のDA-06→C-800f→SRM-727A越しで聴く力強さとはまた異なる柔らかい感触であった。

背面の点灯は、DSDなど入力音源の情報を示すものであったと記憶しているが、詳細な対応サンプリング周波数は聞けなかったため、改めてリリース時などにお伺いできればと感じている。

特に、DACに求められる性能は年々上がっており近年ではDSDのみならずMQA対応と謳う製品も登場してきた。今後のブラッシュアップに期待したい。

 

4. EMPYREAN (MEZE)

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Mezeブースでは、春のヘッドフォン祭 2018でもEMPYREANが出展されていたが、再度音質確認のために秋のヘッドホン祭でも試聴を行った。聞く話によると、近日中に詳細な情報を発表するらしく、春に比べて内容がより固まっているように見受けられた。最終的に11月下旬頃までにはリリースしたい旨のお話を伺えた。

春のヘッドフォン祭と同様にPCの中に「ラブライブサンシャイン」の楽曲がいくつか入っていたため速攻で再生を開始した。今回アンプはE3ではなく、Questyle Audio CMA400iと思われる。なお、EMPYREANは事前情報通り2種類のイヤーパッドを取り付けでき、革とアルカンターラが付属している。前回は革で試聴したため、今回はアルカンターラで試聴を行った。

音質としては、やはり中域が特徴で同時に解像度が高く、中域が煙のように耳の周辺を包み込むようにブワァっと広がる感じが印象的だった。これは自宅の環境では中々表現し辛いものとなり、SUSVARAでも「全域において横には広がるが左右に360度音は包み込めていない」形となり、非常に印象深いヘッドホンであることを再認識した。

EMPYREANのハウジング部分色はシルバーやブラウンなど様々なカラーリングがこれまで登場していたが、実際にリリースするものはブラックであったり価格の面でも3000ドル以降変動する旨の内容を伺い、実際の発売に至るまで変更点は今後あるかもしれないが、引き続き注視していきたいと考えている。

 

5. Edition11 (ULTRASONE)

 

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ULTRASONEブースでは先日、Edition11の発表があり既に話題となっているヘッドホンの試聴を行った。自身としてはEdition15以来のULTRASONEを試聴することになる。

今回、「DAVE」を通して聴くEdition11と、「PATHOS InPol Ear」を通して聴くEdition11を試聴した。

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DAVEを通して聴くEdition11は、やはり解像度が圧倒的であり細かい線までもがはっきりと出ており爽快感があった。PATHOS InPol Earを通して聴くEdition11は、繊細で音が細い印象であった。

どちらのアンプを通しても共通することは、Edition11自体の音が細く、例えばヴァイオリンなどの楽器を鳴らすのがうまいのではと考える部分があった。なぜならば弦を弾く音が良い余韻として聞こえ、解像度重視な印象を受けたからである。

解像度といえばUtopiaを連想するが、どちらかといえば音の厚みや情報量はUtopiaが優れているものの、Edition11はそれよりも音をより細く職人的に音を抽出して鳴らす傾向があるように思えた。

個人的には、Edition11の音色は好みであり価格の面でも同価格帯のヘッドホンを上回る性能を持っていると感じている。

 

6. D8000 * model406 (final * マス工房)

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個性的な組み合わせでD8000を聴く機会はこれまで無かったが、finalブースにて今回良い機会として試聴を行った。自身としてもD8000を自宅にて保持していた時期がありLUXMANを軸として音楽を聴いていたが、今回その音の差を一言で表すならば「清らか」である。ノイズ感が一切なく、まるで音がろ過されたの如く素直に耳に音が入ってくる印象であった。特徴的な低音はシルバーコートケーブルの影響か、若干控えめであったが総括すれば心が洗われる時間を堪能した。

 

7. LCD-4z (Audeze)

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Audezeブースでは、以前から気になっていた低インピーダンスLCD-4zを試聴した。以前にLCD-4を試聴したが相変わらず、LCD-4系は音が濃密で耳にしっとりと張り付いてくる音が楽しめると感じた。

今回、Audezeブースの方は非常に優しくLCD-4と今回試聴したLCD-4zとの音の違いについても教えていただいた。鳴らしている時間にもよるが、LCD-4は音が柔らかいがLCD-4zはまだ音が尖っている印象であると聞き、試聴レベルでは中々捉え辛い内容だったため、次回以降試聴する際はそれをインプットとして臨もうと考えている。

 

8. ANANDA (HiFiMAN)

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HiFiMANブースでは、これまで試聴したことのないヘッドホンを試聴しようと、話題のANANDAを選択し試聴した。実際に自宅のSUSVARAと音質の違いについて確認すると、SUSVARAは空間的に音を鳴らす傾向であるが、ANANDAは直接的に音を鳴らすヘッドホンである印象を受けた。例えば、ANANDAの低音は直接耳に響く感じで表現しているが、SUSVARAは耳から少し離れた位置で隙間を感じた状態で低音を鳴らすイメージがある。

今回、JPOPを試聴したが音自体は滑らかでANANDA特有の空気感を感じることができた。全体的に感度もよく曲をとにかく綺麗に、オールジャンル鳴らすにはもってこいのヘッドホンであると感じた。

 結論 :

9. まとめ

今回は、2018秋のヘッドホン祭で試聴したヘッドホンと、試聴した際の印象についてそれぞれ述べた。

今回は高価格帯のヘッドホンというよりかは、10-20万推移のヘッドホンが主に注目されている状況で、種類も多くなり自身の気に入った機器を探すことも難しくなっている状況である。その中で、今回のヘッドホン祭で特に感じたことは、音の入口をより強化しなければならないことである。なぜならばEdition11とDAVEの組合せなど、各ブースごとに音の入口も工夫しており、自身もその魅力に取り憑かれてしまった部分があるからである。

具体的に述べると自宅の環境ではDAC強化と同時にネットワーク化が必要と感じており、今の音質に不満はないものの、より深い解像度を追い求めるためにはヘッドホンの変更だけではなく基礎的な入口部分に手を入れないといけない気がしたのである。

今年は、クリーン電源やハイエンドヘッドホンを導入し音質向上に寄与しやすい部分について手を加えていった。来年は音質に寄与し辛くとも、上記で述べたDACなどの見直しに注力していきたいと考えている。

 

HIFIMAN 平面磁界駆動型ヘッドホン ANANDA

HIFIMAN 平面磁界駆動型ヘッドホン ANANDA

 

 

 

HiFiMAN SUSVARAを導入 -SR-009 / Utopia / D8000の領域から見た評価

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1. はじめに

自身のヘッドホンの導入はHD650からはじまり、T1 2nd Generation、TH900mk2、SR-009、Utopia、D8000と目まぐるしく変化するヘッドホン市場と共に様々な音に触れてきた。今回は新たにHiFiMANのSUSVARAを導入*1したので、導入の背景と実際に聴き込んだ感想並びに現在所有しているヘッドホンとの印象の違いについて述べる。

 

2. SUSVARAの導入背景

HiFiMANはHE1000などをはじめとした平面駆動型のヘッドホンに定評がある。今回導入したSUSVARAも平面駆動型であり、594万円のSHANGRI-LAに次ぐハイエンドモデルとして位置付けられている。SUSVARAはヘッドホン祭にてはじめて試聴したものであり、一聴して落ち着いた音と透明感がある美色系の音質で、まったりとしつつも解像度のある音を好む自身にとっては非常に好みのものであった。

しかし現在所有しているヘッドホンと使い分けが出来るか、特に自然で美色系な音を奏でるSR-009と共通した部分がSUSVARAにはあるため導入を思い悩む日々を送っていた。

同時期に、自宅のシステムもPCオーディオからネットワークオーディオに移行しようとしていた際、ふとネットワークトランスポートを導入するのと新たにヘッドホンを導入するのではどちらがより音質に変化が見られるかについて考えた。現在ネットワークオーディオは発展途上であり、多種多様な方式でネットワーク化を実装できるよう試行錯誤された製品が登場している。その中で、これといった確立した手段を自分の中で決めることが未だ難しく、様子を伺い時間を掛けてネットワーク化を推進していく必要があると考えた。

また、音の半分以上はスピーカーで決まるとも言われており新たなヘッドホンを導入することで現在の音の見方を変えるような音質の領域を探っていくのも面白いと考えた。従って、今回70万に及ぶSUSVARAを迎え入れ、SR-009 / Utopia / D8000とうまく使い分けることとした。*2

 

3. SUSVARAの音質

自宅のオーディオ現環境を以下に示す。SUSVARAはDA-06からP-700uへバランスで繋ぎ、PC(Roon)より音を再生することとした。今回は、SUSVARAと共通点があると思われるSR-009をメインに比較試聴を行いながら、補足としてUtopia / D8000との音質の違いについても交えながらレビューを行っていく。

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 3.1 SUSVARAの全体的な印象

SR-009のボーカルはクリアで全体的なトーンは明るめでスッキリとした音を出している。SR-009のボーカルの伸びや余韻はUtopiaやD8000やSUSVARAよりもよりいっぱいに表現していると感じられる。対してSUSVARAは、Utopiaのようにボーカルに限らず周りの音を同列でまとめて拾い、低域、中域、高域の距離感を若干調整しているイメージである。バランスが良いと捉えることもできるがフラットな傾向ではなく、一つ一つの音が最大限のパフォーマンスで粒を揃え、きめ細やかに音を表現するものだった。SR-009で目立たない形で表現された細かい音は、SUSVARAの場合耳の近くでボーカルとほぼ同等の音量で表現される。従って、ボーカル以外に多くの楽器が入れば入るほどボーカルの伸びや余韻が周りの音に埋もれる形となるが、それぞれのパートが単体または少数であれば広い音場で楽しむことが出来る。

このように、SUSVARAはSR-009に比べ全体的にしっかりと鳴らすタイプで躍動感を感じることができ、曲の中の音自体をより最大限に楽しく聴かせるように工夫された音であると感じた。

これに伴い、SUSVARAでは情報量が多くなるのは必然的でこの辺の考え方はUtopiaと方向性は一緒なのかもしれないが、異なる点を挙げれば「SUSVARAはUtopiaのように弾けるようなスピード感を求めていなく、音の奥行きや底力はあるが風が吹くようにスウッと音が抜けることによってまるで船の上にいるかのようなゆったりとした気持ちにさせてくれる」ことである。

具体的には、SUSVARAは高域と低域ともに上下にある程度余裕を持った形で音を表現しており、音場を広く、耳へと広がるようなゆったりとした空気感のある音を出す。このような表現はまるでSUSVARAが音自体を包み込んでいるような感覚に包まれる。対してUtopiaは、曲に含まれている音を率直に耳へとダイレクトに鳴らす表現をする。音場や定位はSUSVARAよりも平坦だが、そのぶんクリアな環境となり鳴らしたい音を阻害する要因がなくなるため集中的に細かい音を鳴らすことが出来る。まるでSUSVARAは「音学」でUtopiaは「音楽」であるかのようである。f:id:umauma2011:20180815182613p:plain

3.2 SUSVARAの低域~高域まで

SUSVARAの低音のアタック音はダイナミック型のように打ち込むタイプの力強さであるが、D8000のように特出して強調することはないものだった。対してSR-009の低音はSUSVARAに比べると直接的に訴えかけることはなく、ブォッブォッといった多少穏やかで控えめながらも高級感のある音色が特徴的だった。LUXMANが得意そうなドラムの跳ね上げる音はSR-009が多少、落ち着いて抑揚があり聴いていて爽快であった。

SUSVARAの高音は、これまでのヘッドホンの中で最も綺麗でキラキラとした音は限界を感じることはなく最強と言える。SUSVARAが鳴らす高音は湧き出てくるような潤いのあるものであった。前述の通り、SUSVARAは音自体を包み込んでいるような表現をするため低域・高域ともに限界を感じさせないものである。

3.3 SUSVARAの総括

・SUSVARAではP-700uのボリューム位置は12-13時辺りが丁度よい音量位置であった。駆動力が必要とされるT1 2nd GenerationやHD650でもP-700uのボリューム位置は最大11時を指していたのでSUSVARAは改めて駆動力が必要なヘッドホンであると感じた。自宅の環境で鳴らしたことがないがLCD-4のP-700uにおけるボリューム位置はいずれ確認したいと考えている。

・SUSVARAはアンプの駆動力が必要であるとの認識であったが、P-700uで鳴らしてみてもSR-009 / Utopia / D8000との違いをしっかりと感じることができた。また、LUXMANの音色をいつも以上に感じ取ることもでき、SUSVARAは駆動力というよりかはアンプの特色をそのまま活かす素直なヘッドホンであるとも感じた。

・SR-009Sでは、よりSR-009の音色が滑らかになったものと認識している。従って、SUSVARAの全体的なアタック感とでは方向性がまるで逆になっていくことが伺える。
この辺りは個人の好みにもよると思われるが、穏やかで自然な余韻ある音色が好きならばSTAXであるし、穏やかな傾向であるがダイナミック型のような迫力ある音色を楽しみたいのであればSUSVARAとなると考えている。

 

4. まとめ

今回はSUSVARAを導入し、既に導入済のハイエンドヘッドホンとの印象の違いを述べた。個人的なイメージであるが、SR-009 / Utopia / D8000はそれぞれ得意とする領域をもち、これまで本ブログでいくつか述べてきた得意な部分に対してスペシャリストであり続けていると考えている。

SUSVARAは特に癖がない、自身の所有する上記の3つのヘッドホンをひとつにまとめ上げた集大成という感触を持っている。もちろん全てを詰め込むことで味が失われる箇所もあり、例えばSUSVARAで曲を聴いている中で「SR-009ならここはもっと穏やかに優しく鳴らしていただろう」といったギャップを感じることもある。しかしながら、新たに得られる領域もあると考えている。

 例えば、他のヘッドホンで鳴らしている最中に過る「ここはより繊細に鳴らしたい」「ボーカルが周りの音に埋もれがち」という少しの不満を解決するほかに、低域から広域までの伸び、パワーなどの表現できるハイパフォーマンスな音を聴くことで、曲本来の原音をバランスよく表現することによる自身の音への向き合い方を変えてくれるものと信じている。SUSVARAには、全ての曲に対して「こうであるべきだ」という手本を示すようなパフォーマンスを今後も期待している。

 

ヘッドホン SUSVARA

ヘッドホン SUSVARA

 
STAX スタックス SR-009S イヤースピーカー

STAX スタックス SR-009S イヤースピーカー

 

*1:導入した途端にSUSVARAのステルスマグネット技術を搭載したHE1000SEが発表される。SUSVARAにはまだ極薄ナノダイアフラムと金コーティングがあるから...震え声

*2:スピーカー導入を推進する声もあるが、個人的にB&W 800D3以上の性能を求めており、400万以上クラスと最低でもパワーアンプ左右2台が必要と考えているため、より金額は跳ね上がる。

ES-1200の電源ケーブルをJPA-15000からJPA-20000に変更した

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1. はじめに

人それぞれ、音質を左右すると考えられている要素は異なると認識しているが、私はオーディオケーブルの中において、電源ケーブルの強化が分かりやすく音質向上に寄与すると考えている。なぜならば、電源ケーブルの変更やクリーン電源の導入等による電源環境の強化はXLRケーブル等の変更よりも、音質変化の効果が顕著に表れたことをこれまで確認してきたからである。実際に全ての自宅のオーディオ機器にLUXMAN JPA-15000を適用したのち、クリーン電源のES-1200を導入した上でその音質の変化を目の当たりにしてきた。

今回は、LUXMAN電源ケーブルを一段階グレードアップした「JPA-20000」を導入したので、「導入の背景」や「一部の機器に接続した結果」と「JPA-15000との印象の違い」について述べる。

 

2. JPA-20000

■概要と背景

LUXMANは2005-2006年頃に創業80周年記念としてB-1000fやC-1000fを発表した。その際に付属の電源ケーブルとして新規開発されたものがJPA-20000と認識している。しかしながら、LUXMAN電源ケーブルとしてJPA-20000は市販されていなく通常の製品に付属されているJPA-10000とハイグレードの製品に付属されているJPA-15000までの市場扱いとなる。

個人としてもJPA-20000が付属されているC-1000fを導入しようと悩む時期があったがC-800fが創り出す音も気に入っているため何らかの機会でJPA-20000を触る機会があれば...と苦悩の日々であった。

実際に、LUXMANJPA-20000の取扱いの有無をサポート経由で質問をさせていただいたことがある。回答としては「申し訳ありませんが販売しておりません」であった。

ところが、今回掘り出し物を見つけようやくJPA-20000の導入に至った。

JPA-20000の見た目

現在自宅で導入中のJPA-15000とJPA-20000の見た目上の大きな違いは、コンセント側に差込むアース用のピンが設けられているということと、ケーブル自体の太さである。自宅では、壁コンセントとES-1200のコンセントともに3Pコンセントに対応しているため問題はないが、これまでオーディオに関する電源でアースをとったことが無かったため多少の混乱があった(STAXのハムノイズ防止でSRM-727Aとプリアンプのアース端子間をアース線で繋いでみたりした程度)。

私は電気工学に乏しいため、アースをとることによる電源特性への影響についてはここで語ることはできない。(度々フォーラム等でアースについて議論されているものの、最終的には結論が出ずに個人の拘りや音の好みで議論が収束されているように思う。)

自身としてもあまりそこはシビアにならずに状況に応じて使い分けようと考えている。

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3. JPA-20000の接続

JPA-20000を一部のオーディオ環境に接続し、音質を確認した。前提として、自宅の環境はいつものように以下としている。

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はじめに機器に接続するにあたり、電源ケーブルを一箇所変更(JPA-15000を外してJPA-20000に変更)した際に音質の差が出やすい部分について検討を行った。*1

なお、試聴するヘッドホンは機器の状況によって出音が顕著に変化しやすいFocal UtopiaをP-700u側で代表とした。

① DA-06にJPA-20000を接続し、UtopiaとSR-009で出音を確認する

② P-700uにJPA-20000を接続し、Utopiaで出音を確認する

③ C-800fにJPA-20000を接続し、SR-009で出音を確認する

④ ES-1200にJPA-20000を接続し、UtopiaとSR-009で出音を確認する

以上の項目で試聴を行った。

 

4. 音質

再生ソフトウェアはFoobar2000*2。音源は、Pure-AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS-(WAV44.1kHz)の様々な収録曲。

Pure-AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS-

Pure-AQUAPLUS LEGEND OF ACOUSTICS-

 

 

① DA-06にJPA-20000を接続し、UtopiaとSR-009で出音を確認する

音の粒が揃った印象を受ける。ボーカルの息遣いがより分かりやすく変化した。中低域が強調され、若干音の解像度が上がり、曲の終盤における余韻が楽しめるようになった。基本的にはDA-06の性能を継承し、より曲自体の雰囲気とインパクトを強化する結果となった。

特に、エターナルラブでは曲の中に所々ある低音寄りの「ボワッ」は奥行きのあるインパクトのある音に、繊細な「カサカサ」は丁寧に優しく分離した形で表現された。JPA-15000ではなんとなく表現されていてUtopiaが辛うじて拾っていた音も、ある程度余裕を持った形で音楽を展開していたように見受けられた。

当初、DAC電源ケーブル変更が音質の向上に最も繋がるのではないかと考えていたため個人的にはこの時点で満足していたが、もしかしたら...と考えやり遂げることにした。

 

② P-700uにJPA-20000を接続し、Utopiaで出音を確認する

P-700uの電源ケーブルJPA-10000からJPA-15000に変更した際の印象とよく似ていた結果となった。P-700u*JPA-20000は全体的にJPA-15000の音を底上げした形でより一つ一つの表現が派手に、曲自体を盛り上げるような印象を受けた。

自身としてはJPA-15000を適用しているP-700uの表現がちょうど良く、JPA-20000にすると若干ドンシャリに近付く形になってしまったため、こちらの接続は見送った。

※当ブログではドンシャリしない解像度の高い躍動感のある音楽」を目指している。

 

③ C-800fにJPA-20000を接続し、SR-009で出音を確認する

 中低域がよりダイナミックに躍動感が感じられ、②のような印象と似たようなものを感じた。SR-009で聴くと多少自然さが失われてしまったという印象であったことと、コンデンサ側に限られた接続となるためこちらも導入を見送った。

ただし、将来的にスピーカーを運用する場合やC-800fとパワーアンプ等を接続する場合はまた違った鳴り方をすると考えられ、一概にJPA-20000との組合せを切り捨てるという判断はできないと感じた。

 

④ ES-1200にJPA-20000を接続し、UtopiaとSR-009で出音を確認する

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正直、一番適用の効果が薄いと思っていた組み合わせだが見事に覆す結果となった。まず、ひとつひとつの音色に艶がしっかりと出ており静かな曲に対しては静寂感が増し、反対に賑やかな曲は、破綻しないよう立体感のあるLUXMANらしい中低域の弾けた音を出すようになった。特にUtopiaは低音部分がより豊かに「ブワン」と震えるような深い音色を出すように鳴るように感じられた。

懸念していたのは、クリーン電源の強化により全体的に音自体が引っ込んでしまうのではないかという思いがあったがこれまでのポテンシャルは引き出しつつ、音は多少横に広がるようになった。また、曲の中で表現される前面に押し出る音はこれまで耳にあまり届いていなかったが、より一歩前へ出るようになり乾いた音またはしっとりとした音を非常に上手に使い分けて表現するようになった。

電源ケーブルは結局電源に宿るのか...と考えさせられる結果となり、最終的にJPA-20000は④の構成で組み込む形となった。

 

5. まとめ

今回はJPA-20000を導入し、様々な機器に組込みベストな構成を模索した。個人的にJPA-20000と最も良い組合せはES-1200となり、結果的にP-700uとC-800f側の両方に良い効果をもたらす形となった。

電源環境の変更は音質に良い効果をもたらすことが改めて確認でき、今後も非常に重要な要素の1つとして捉えていこうと考えている。

 

■おまけ

 

ラックス 電源ケーブル(1.8m)LUXMAN JPA-10000

ラックス 電源ケーブル(1.8m)LUXMAN JPA-10000

 

*1:余った1本のJPA-15000は電子ピアノのMP11へ接続

*2:Roonを導入したのにFoobar2000に拘った漢

Final D8000をバランス化 -Brise Audio UPG001HP Ref. for Final (4極XLR) を導入

 

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1. はじめに

Final D8000を導入してからは、これまで製品に標準付属のアンバランスケーブルで音楽を聴いていた。以前にFocal Utopiaをバランス化したので、D8000も同様にバランス化を行いたいと考えたため、今回バランスケーブルの導入に至った。

本記事では、「Brise Audio UPG001HP Ref. for Final」の選出理由や音質、D8000純正のアンバランスケーブルとの違いを述べる。

 

2. 「Brise Audio UPG001HP Ref. for Final」の選出理由

D8000のバランスケーブルは基本的に、Finalがシルバーコートケーブルとして別売りで販売している「C093 LP15CXCL」「C093 LP30CXCL」がある。

しかしその他に、サードパーティ製としてFinal純正端子を採用した各種ケーブルがBrise Audioから販売されている。本記事で紹介するBrise AudioのUPG001HP Ref.は各種ケーブルの中でもハイエンドヘッドホン向けのリケーブルとして位置付けられており、これをD8000に適用したものとなる。

個人的にヘッドホンケーブルの長さはそこまで必要としないため、1.5m以下のタイプで4極XLRのものが候補となった。この条件のもと、私がBrise Audioの「UPG001HP Ref.」タイプのケーブルを選出した理由は3つある。

ア. シルバーコートケーブルの納期が遅め(受注生産の1.5mの場合:数週間~数ヶ月)であり、Brise Audioを選んだ方が圧倒的に速い。

イ. 事前にヘッドホン祭でD8000とUPG001HP Ref.の組合せを試聴しており、アンバランス接続したD8000との音の差が顕著でボーカルがより近くに迫っていた。

ウ. Focal Utopiaで「UPG001HP Ref.」を導入した実績があり、自宅の環境において音が良い方向に出ることは想像ができていた。

 ※実際に前回のUtopia用のUPG001HP Ref.を注文した際は約1週間で商品が到着し、今回のD8000用のUPG001HP Ref.は数日で商品が到着した。

 

3. 試聴環境

D8000をLUXMAN P-700uにバランス接続し、PCからFoobar2000にて各種音を再生した。なお、DA-06、P-700uには電源ケーブルとしてJPA-15000を接続しているものとする。DA-06とLS-X0iの間はLUXMAN JPC-10000でXLR接続し、LS-X0iとP-700uとの間はBELDEN1192AでXLR接続している。

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 4. 音質

再生ソフトウェアはFoobar2000。音源は、μ'sのHeart To Heart(FLAC96kHz)。

※試聴 

HEART to HEART!

HEART to HEART!

  • μ's
  • アニメ
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

 

UPG001HP Ref.を適用したD8000は、音全体がより明瞭になり、ひとつひとつの音をがっちりと捉えて出力している。というのは、アンバランスの場合だと中低域が全体的にスカスカで音の解像度はあるが、あと一歩手が届かないような印象を持っていた。

ところがバランス化した場合はそれらの音を鷲掴みにし、加えて周りの細かな音(シャンシャン,キーン等)をより明瞭に拾い、埋もれないようにうまく空間を創り上げていると感じた。LUXMANと合わせている効果もあるかもしれないが、ドラムなどの跳ねる音はアンバランスよりも弾けて出ている。ただし、ドンシャリにはならずにアンバランスで奏でていた重厚な高貴な音を継承しつつ、バランスを保ったまま分離感が増して全体的なポテンシャルが底上げされていると考えられる。

また、狙い通りボーカルがより耳に迫ってきており、周りの音に被されにくくパート分けの部分においてはメリハリが向上し、抑揚のある歌詞を楽しむことができるようになった。特にD8000の特徴である低域はアンバランスの場合だとボーカルより前に大きく主張する時があるが、バランスの場合は低域の迫力が下がることなく、低域の重心が付加されてボーカルと同レベルで対等な位置関係で表現されている。

上記では中低域や低域について触れたが、高域においても若干の変化が見られた。バランスにすると、これまでキンキン目に聞こえていた箇所が若干抑えられ、更にその部分についてエコーがかった余韻を出すようになり余裕が生まれたように思えた。これにより、バランス化によってD8000が表現できる音の幅が全域において一段階上がったように思えた。

最後に、バランス化したD8000の音の雰囲気について述べる。以前、本ブログでは「音のテンションとしては薄暗目、繊細ながらも通常の曲のトーンより重めでズッシリした、乾いた表現」と印象を総括した。結論から言えばクリーン電源導入後やバランス化後も、大きくその印象は変わることなく本来のD8000の特徴が継承された状態で除々に音のグレードアップが図られたきたことを確信した。D8000は音楽を低域を基礎に支えているような感覚からか、音の厚みはUtopiaやSR-009と比較しても強力であり、かつ音場もそれなりに解像度高く提供してくれるため本当にモニターライク的、ソースによっては躍動感が感じられる音楽を楽しめると考えている。

 

※その他の声

AqoursのMIRACLE WAVEの曲の中で、「みんなきっと分かるんだね」の歌詞のあとに続く重低音「ドゥーン」がある。TA-ZH1ESとTH900mk2を組合せた際の「ドゥーン」が一番印象的だったと思っていたものの、D8000でしかもP-700uで余韻、奥行き、重厚が完璧な「ドゥーン」を出せたことにより興奮している感想である。

 

5. その他

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本記事は、Brise AudioのUPG001HP Ref.の選出理由と導入後のバランス化したD8000の音質を述べた。

Utopiaに続き今回もUPG001HP Ref.の導入により納得のいく音質に仕上がり、自身が目指す環境の姿である「ドンシャリしない解像度の高い躍動感のある音楽」にまた一歩近づいたと思う。導入ヘッドホンのバランス化も収束したので、いよいよ自身の環境もPCオーディオからネットワークオーディオに移行しようと構想中である。D8000もまだまだポテンシャルを秘めているヘッドホンであるということが分かり、今後も周りを取巻く環境にメスを入れていき、更なる目的の音楽像に向かって邁進していければ良いと考えている。

 

final D8000 FI-D8PAL 平面磁界型ヘッドホン

final D8000 FI-D8PAL 平面磁界型ヘッドホン

 
FOCAL(フォーカル) UTOPIA

FOCAL(フォーカル) UTOPIA

 

 

LUXMAN ES-1200を導入 - ハイエンドヘッドホンを聴き直す

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1. はじめに

これまでLUXMANを軸としたオーディオを構成してきたが、それぞれの機器の電源は一般家庭用の1000円ほどの電源タップからとってきていたため改善の余地があった。なぜならば、電源の強化は音質の変化に結びつきやすいという個人の考えがあるからである。実際に、全ての機器に接続する電源ケーブルLUXMAN JPA-15000に統一し、結果的にその音質の変化を目の当たりにしてきた。

今回は、その電源環境をより良いものにしようとLUXMAN ES-1200を導入し、現在の環境に組み込んで接続したので、その導入背景と導入後の音質の変化について述べる。

 

2. 導入背景

2.1 クリーン電源の必要性に至るまで

私は、2017年秋頃にオーディオユニオンにてD-08u、C-900f、M-900u、B&W 802D3の試聴会に参加し、クリーン電源(ES-1200)を挟む時と挟まない時の音質比較も体験させていただいたことがある。その機会に至るまでは、クリーン電源に何十万も費やすのは如何なものか?という気持ちでいたが、実際に聴いてみると有るのと無いのとでは聞こえ方がまるで違うということを認識させられた。

例えば、クリーン電源を挟む場合には全体的に音が爽やかな印象となり、特に高音のシャリつきが一切無くなる。防犯ブザーなどを耳に近い状態で聞くイメージに近いが、高い音を聞くと、耳の中にキリキリと響くことがある。オーディオにおいても、女性ボーカルなどで高い音が含まれている曲の場合、時にそれと同じようなことが起きる。

しかしクリーン電源を挟むと、例え無理のある高音もまろやかに、伸びのある音で柔らかく包んだ表現に変えてくれるのである。これは、スピーカだけではなくヘッドホンにも同じような効果が期待できると考え、それ以来私はクリーン電源の導入を推進してきた。

2.2 クリーン電源の選定

代表的なクリーン電源をいくつか候補に挙げ、それぞれの製品について特徴を整理した。

AccuphasePS-1230は度重なるアップグレードモデルで実力もあり、物量も重量があり納得のクオリティである。運用面で見れば、1人で運べない大きさとなり、ラックに収まらない大きさで導入を控えていたが、音質的にはAccuphase特有の正確な空間を支配してくれそうな印象であった。まさに適正な品質を提供してくれそうな予感がしたため、選択としては有りであった。

・SIGMASのISOTEKやPS AUDIO等は、クリーン電源適用後によく見られそうな「音痩せ」や「引っ込む」感じをもたらすことなく、しっかりと電源を強化した上で音自体も力強く前へと押し込んでいくような印象であった。自宅のLUXMANも比較的元気よく弾けた音を出すため、より音自体を盛り上げるという意味では候補として挙がった。しかし、自身はまったりとした音を好むため相性が良すぎる場合は、ドンシャリ化してしまうことを懸念していた。

LUXMANES-1200は、機器の一貫性という意味では自宅の環境と非常に相性が良さそうで、なおかつスイッチング方式の利点を活かし軽量で、運用が非常にしやすい印象であった。音質についても、今のLUXMANの音を継承しつつ聴きやすい音造りをしてくれる確信があった。また、他のクリーン電源とは少し違ったアプローチ(電源の波形を比較、サイン波として補正)で電源の改善を試みているという点も興味を惹く要因となった。

 

以上の検討の結果、軽量により自宅におけるシステムの運用がしやすく、かつシステムをLUXMANに統一することによる一貫性が期待でき、それに伴う最大のラックストーンを体感してみたいという思いからES-1200を選択し、購入に至った。

 

3. ES-1200の環境・導入状況・音質

3.1 機器環境

ES-1200を自宅の機器に接続し、以下の図のような構成とした。

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ES-1200にDA-06、P-700u、C-800f、SRM-727AJPA-15000で接続し、ES-1200自体の電源については自宅の壁コンセントにJPA-15000で接続した。

今回は、この状態でPCからFoobar2000より音楽を再生し、P-700uにてHD650とUtopiaをバランスで接続し、D8000をP-700uにアンバランスで接続する。また、C-800fからボリュームパスしているSRM-727AにSR-009を接続する。

3.2 ES-1200の導入状況

本記事のトップの画像がES-1200から電圧の値を示したものである。自宅の入力電圧はおおよそ「99~103V」に推移しており、ES-1200によって常時100Vが出力されている。また、以下に示す画像が電源の歪率の状況を表す。

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自宅の歪率としては、おおよそ「2.5~4.2%」と幅が大きく、特に深夜帯になるにつれて歪率が増加する傾向にある。しかし、これらもES-1200によって常時0.1%に補正され、適切な正弦波として出力されていることが伺える。

ちなみにヘッドホン祭で度々これらの数値を確認しているが、中野サンプラザの入力電圧はおおよそ「99V」で入力歪率は「3.2%」辺りに推移している。これに対するES-1200の出力については、今回の自宅の出力と同様に100Vの出力電圧と0.1%の出力歪率を維持している。

※私自身、電気工学を専攻していないため表現に不自然な記載がある場合はご容赦願いたい。

3.3 ES-1200適用後の音質

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3.1で述べた環境をもとに、各ヘッドホンで音質を確認した。

PC再生ソフトウェアはFoobar2000。音源は、福山雅治の最愛(WAV44.1kHz)。

※試聴  

最愛

最愛

  • provided courtesy of iTunes

 

 ・HD650 (XLR4 純正バランス)

ボーカルがより耳に近づき、クリーン電源適用前の「ボワーっ」と鳴っていた左右の音がより鮮明になった。低音の質はより向上し、「ボンボン」と鳴っていたものが「ブォンブォン」というように深みが見られた。低音だけでなく、全体的に中域から高域の音がより強化されたと考える。印象としては、一つ一つの音がよりキレのあるものに変化し、音場もやや横に広がっているようにも思えた。HD650の特徴でもある暖色系の厚い音は継承されたまま、それにいくつか音を楽しむための前述の要素が付加されている状態である。

それにしても、環境次第でこれだけ幅のある音を鳴らせるHD650は相変わらずのポテンシャルであると感じた。

ゼンハイザー ヘッドホン オープン型 HD 650【国内正規品】

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・Utopia (XLR4 UPG001HP Ref.バランス)

クリーン電源適用前は、ざわつき感やジャキジャキ感があり、それらが耳に響くことがあったが適用後はそれらが一切消えた。Utopiaは細かい音までも全て拾い鳴らす特徴もあることから、これらのノイズ感が消えることによってより音楽自体が聴きやすくなり、違和感なく完全に没頭できるようになった。今まで前に出すぎていた音の部分も制御が効いているのか、少し引っ込んだ形で全体的にバランス良く表現できていると考える。全体的に音のトーンは明るめのそのままで、かつ静寂感と透明感が比較にならないほど劇的に進化したように見受けられる。

こちらもHD650と同様に中域から高域にわたって音の進化具合が分かりやすく、Utopiaとの相性が良い。そしてなによりも、ボリュームを上げても耳に音が突き刺さらなくなることが大きく、ハイスピードを維持した鳴らし方に限界のない環境に仕上がったと感じる。

 

・D8000 (6.3mm 純正アンバランス)

クリーン電源適用前はどちらかというとエッジの効いた音であったが、適用後は音場が全方向に広がった印象を持ち、確実に音の包み方が大きく変化している。Utopiaが拾うような小さい音も僅かでは有るが少しそれらは浮き出て細かい線となり、綺麗に表現するようになった。D8000の特徴的な「躍動感」と「滑らかさ」の絶妙なバランスと基礎がしっかりとした低音を保ちながら、前述の要素を付け加えることによって、クールで濃密な音楽の楽しさをより楽しめるようになった。Utopiaでは静寂感と透明感の向上として空間表現的な変化が感じられたが、D8000では躍動感と優美さの向上として音楽表現的な変化が感じられた。

 

・SR-009

音全体がスッキリし、滑らかとなった。特徴的である自然な音がよりグレードアップし、抜ける音はしっかりとスッと抜けて本当に耳に入りやすい音に変化した。

特に、本来の曲を大きな味付けなく綺麗に鳴らすヘッドホンであるため、アンプの特性や環境によってその鳴り方も異なってくると考えられる。今回はLUXMANで機器を統一しているため、クリーン電源を通したSR-009が出すその音はまさにラックスの特徴でもある「キレとまったりさを融合させた音楽性が豊かな音色」となって最大限に、自分の構築した結果の音をフィードバックさせるものになったと認識している。

クリーン電源導入後は、SRM-727AとES-1200をアース接続しハムノイズ対策を行っている。

 

4. まとめ

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今回は、ES-1200の導入の背景と導入後の音質について、各ハイエンドヘッドホンを用いてその差を確認した。

どのヘッドホンにおいても全体的に中域から高域にわたって音自体に透明感と解像感がより生まれ、ノイズ感が無くなり聞きやすくなった。これにより、クリーン電源はスピーカだけではなくヘッドホン環境においても音質の変化に大きく貢献することが示され、導入効果があったと結論付ける。

個人的に、電源はオーディオにおいて非常に重要な要素の1つであると考えている。現在の環境の基礎力アップやノイズ感に悩まされている場合は、是非電源に着目いただければと思う。本記事がそのきっかけとなれば幸いである。

LUXMAN ES-1200

LUXMAN ES-1200