おうまさん

SEのふりをしながら趣味をやる。

2018年春のヘッドフォン祭に行ってきた -EMPYREAN、SR-009S、HD820などを試聴

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1. はじめに

今年で十周年となったヘッドホン祭に足を運び、今回も様々なハイエンドヘッドホンを試聴した。比較的新しいヘッドホンについて実際に試聴が行えたので、本記事では「試聴したハイエンドヘッドホン」の紹介と、「聴いた際の印象」を述べる。

なお、静かな会場や上質な電源環境で試聴したわけではないため、多少の認識の違いや個人の捉え方についてご了承いただきたい。

※ヘッドホンの撮影はどのメーカからも快く承諾していただき、とても親切にしていただいた。

 

2. 試聴ヘッドホンラインナップ

2018年春のヘッドホン祭で試聴したヘッドホンは8つある。

・EMPYREAN (MEZE)

・SR-009S (STAX)

VOCE (MrSpeakers)

・HD820 (SENNHEISER)

・D8000用ケーブル UPG001HP Ref. (Brise Audio)

・SUSVARA (HIFIMAN)

 

3. EMPYREAN (MEZE)

 本記事トップに掲載している画像がEMPYREANとなる。

試聴するための楽曲を持ってきていない私は、MEZEのブースで用意されていたPCを通してEMPYREANを試聴した。PCの中に「ラブライブサンシャイン」の楽曲がいくつか入っていたため速攻で再生を開始した。アンプは恐らくE3 hybrid Headphone Amplifierだと思われる。

ソースとして「未来の僕らは知ってるよ」を再生した。一聴して自宅で聴くヘッドホン達との違いが一点見受けられた。中域の音が浮いているのである。具体的には、中域やボーカルが周りの音(低域や高域)に比べて「ふぁさふぁさ」しているような感覚であった。それがこのヘッドホンの特徴なのかは定かではないが、しっかり全ての音を均一に鳴らすというよりかは、一部の帯域の音を味付けしてフィルタ気味に音を表現しようとしている印象であった。低域はUtopiaよりも出ていない控え目な感じだったが、その中域が浮いている分、音場は広く見通しが良かった。

このクラスの価格帯(記事によると4000ドル)であるので、音の解像度自体はUtopiaやD8000等と同様に非常に高かった。

EMPYREANに関して、海外のフォーラムを見ていると「限定500セット」であったり「価格が3000ドル」や「色」について投稿を見掛ける。今回その点についてブースのご担当の方に確認を行ったところ、

・当初、EMPYREANには限定色(ハウジングが茶色で縁が黒のタイプ)があり、それを限定生産として販売を検討していたが、好評によりそれを無しとし、幅広い色のバージョンを提供するかもしれない。

・色はシルバー、ブラウン、ブラック(?)

※発売前の情報であるため変更の余地は今後もある。

以上のようなお話を伺えた。今回の試聴だけでは、EMPYREANの全てを知ることは出来ないため、今後も機会があれば継続してその音質を確認していく予定である。また、環境によっても音質が変化したりリケーブルが行えるようでもあるため、試聴数をこなすことが重要であると考えている。

 

4.  SR-009S (STAX)

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ヘッドホン祭のほぼ直前に発表されたSTAXの新フラッグシップモデル。本記事では、現在所有しているSR-009との比較を主に述べていく。

構造的には、電極の金メッキ加工など細かい工夫とガードメッシュの曲面化、軽量化を行っているが、音自体にそれらがどのように現れるのか非常に興味深かった。

実際にSTAXのブースに行き、SRM-T8000とSR-009Sを試聴しクラシック系のソースを再生した。SR-009Sは全体的に音が柔らかく、解像度のある繊細な表現で音を自然に鳴らすことが分かった。一方SR-009は音自体を直接的に耳に訴えかけ、線のあるキレのある音を自然に鳴らしている。

従ってSR-009Sはまったり派でどちらかといえば暖色傾向があるのではないかと考えている。この暖色はSRM-T8000側による真空管によるものなのか、現時点で判断がつかないため、SRM-727Aと接続した場合にどう音質が変化するか確認が必要である。

※SR-009もSR-009SもSRM-T8000で比較試聴しているため、この段階で既に差はあることは明らかではある。

しかし、音の傾向としては弦楽器などのしっとりとした音は継承されており、耳のあたりで懐っこく鳴らしてくれている印象を持ったため、選択肢としては聴く音楽のソースや個人の音による好みで左右されてくるだろうと考える。

//-----------------2018/05/13追記------------------

ヨドバシカメラさいたま新都心にて再度、SR-009とSR-009Sについて試聴を行った。

 印象としてはツイートの通りだが、補足するとSR-009Sが鳴らす「我が祖国のモルダウ」は、音が底から込み上げてくるような鳴り方で全身で音楽を感じ、まるで泉から水が湧き上がるような気持ちとなったのがポイントだった。009よりも音が柔らかく、音場も付加されて柔らかくなった分、そのような表現となったと考えられる。

SR-009Sの鳴り方の傾向としては理解できたが、今後はクラシック以外のアニソン等をはじめとした様々なジャンルでの試聴が必要となり、今後の課題としたい。

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STAX スタックス SR-009S イヤースピーカー

STAX スタックス SR-009S イヤースピーカー

 

 

5. VOCE (MrSpeakers)

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こちらも静電型のヘッドホンとなり、MrSpeakersのブースではBlue Hawaiiに接続された状態で試聴が行えた。

 音質は、まさに静電型という形で独特な音で表現されていたがSTAXとはまた違った傾向の鳴り方であった。音のソースとしてラ・ラ・ランドのテーマを再生したが、音全体が透き通っていて音の息遣いが伝わってくるような印象だった。低域、中域、高域どれも基本的には均一だが、必要に応じて臨場感のある箇所は低音がドォンと出たり、力の抜き加減と入り加減のメリハリがよく出ていた。

アンプのBlue Hawaiiは真空管で、今回初めて聴くアンプであったが真空管特有の暖色系の音や厚みのある音がさほど聞こえなかったのが不思議であった。

当初、STAXをかなり意識したヘッドホンで海外で主流となりそうなものだと認識していたがSTAXのドライバにも適用できるという話もあり、新しい静電型の音を発掘したい方には魅力的な製品であると考える。

 

6. HD820 (SENNHEISER

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ヘッドホン祭の中でも目玉製品として登場しているヘッドホンであり、試聴人数も多いようで整理券が配布されていた。SENNHEISERのヘッドホンを聴くにあたり、ヘッドホン祭に出かける前に、自宅でもHD650をしっかり聴き込んでからHD820の試聴に望んだ。SENNHEISERのブースでは、クラシック系の音楽が再生されていた。

HD820はクリーン電源を通したHD650と比較して、解像度が高くハイエンド志向のヘッドホンとなった印象を持った。しかし、HD800系の傾向にあるような広大な音場はそれほど感じられず、HD800に軍配が上がると考えている。

自身としてもHD800以上のSENNHEISER製品を所有していないため、試聴レベルの感想となってしまうことをご容赦願いたいが、

解像度の点で言えば

HD800 < HD800S < HD820

となり、音場感で言えば

HD800 = HD800S ≧ HD820

(またはソースによって)

HD800 ≧ HD800S ≧ HD820

となると考えている。

 

7. D8000用ケーブル UPG001HP Ref. (Brise Audio)

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当ブログでは、2018年4月にUtopiaをBrise Ausioのケーブルでバランス化し、導入効果があった実績がある。従って、現在自宅で導入中のD8000もバランス化によって更なる音質向上を図っている。

D8000のバランス化となると、Final純正のシルバーコートケーブルかBrise AudioのUPG001HP Ref.が候補として挙がってくる。今回は、その音質を事前に確認したいということで、Brise AudioのブースでUPG001HP Ref.を試聴した。

確かに、以前から話題となっているBrise Audioの専用アンプは解像度や音の濃密さに優れており、自宅のD8000と全く異なった音が出ていた。特に、ボーカルがかなり耳に近い形でねっとりと前に出てくる上に、その周りを包む音も迫ってくるが如く、臨場感のある音を常に創り出しているのである。ここでは自宅のD8000はまだ鳴らせていないことが分かり、今後のリケーブルによってそのギャップを埋めていかなければならない重要な課題として捉える良い機会となった。

 

8. SUSVARA (HIFIMAN)

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以前から気になっているSUSVARAを試聴した。空気感がよく感じられ、まるでこれまで効いている音の方向性とは違う音で表現されていた。

一言で言えば、音がスカスカしているが悪い意味での表現ではなく、「囁き」と「透明感」が融合されたような美色系のイメージである。導入についてはもう少し検討していく予定である。

 

9. まとめ

今回は、2018春のヘッドホン祭で試聴したヘッドホンと、試聴した際の印象についてそれぞれ述べた。

ヘッドホンも高価格帯に遷移してきており、30万-50万の価格帯が特に盛上がりを見せており、音の違いを見出すのもよく試聴しなければ分からない世界となってきた。

今回の試聴で感じた印象も、何度か試聴を繰り返す内に考えが変化していくことも大いにある。引き続き新製品に関して周りの方のレビュー等も参考にさせていただきながら情報収集を行い、自宅のオーディオ環境をよりブラッシュアップしていく予定である。

  

ヘッドホン SUSVARA

ヘッドホン SUSVARA

 
final D8000 FI-D8PAL 平面磁界型ヘッドホン

final D8000 FI-D8PAL 平面磁界型ヘッドホン

 

Brise Audio UPG001HP Ref. for FOCAL UTOPIA (4極XLR) を導入

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1. はじめに

Focal Utopiaを導入し、音質に満足していたが本ブログでのレビュー記事で触れたように、音のクリアさ等に課題がありバランス化が望まれていた。

Utopiaのバランスケーブルにも様々な種類があるが、Brise Audioのケーブルは以前から気になっており、価格や技術的にもハイグレードな部類で説得力があった。

今回、そのBrise AudioのUPG001HP Ref. for FOCAL UTOPIAを導入しバランス化に至ったので、音質とUtopia付属のアンバランスケーブルとの違いについて述べる。

 

2. 試聴環境

UtopiaをLUXMAN P-700uにバランス接続し、PCからFoobar2000にて各種音を再生した。なお、DA-06、P-700uには電源ケーブルとしてJPA-15000を接続しているものとする。DA-06とLS-X0iの間はLUXMAN JPC-10000でXLR接続し、LS-X0iとP-700uとの間はBELDEN 1192AでXLR接続している。

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3. 音質

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個人としては初めて10万代のケーブルに手を出し不安であったが、一聴して音場の圧倒的な違いに驚かされた。

例えば右や左で交互に鳴るような曲や、右から左へ流れるような曲の分離感と表現力が高く事細かに音楽を造り出すようになった。この辺りはアンバランスケーブルだとなんとなく平坦で、音の解像力はあるが表現力に課題があったように考える。水樹奈々の「TESTAMENT -Aufwachen Form-」を聴いているとそのことをより実感する。

次に、曲全体の重心が低くなり、よりダイナミックに曲が再生されるようになった。特に低音もこれまで以上に重く、どっしりと構えるような空間を提供してくれる。しかし、このようなハイエンドのような音になると、少し眠たい感じが出てくる場合もあるが、弾ける音はしっかりと「パァン」と放出し、ボーカルも埋もれることなく適度なバランスを保ち続けている。

印象で言えば、これまでアンバランスケーブルによって元気で明るい少女が歌う元気な曲を慣らしてくれていたUtopiaが、Brise Audioのケーブルに変更したことによって「少女から成長した妖精に変化し、変幻自在に音を操る」ようになった。

なお、Utopia特有の「シャァン」や「カァン」などの繊細な音に対する表現力は衰えることなく、こちらもより強化され伸びのある音になっているように見受けられる。

最後に、Utopia付属のアンバランスケーブルと異なる点について述べる。違いを一言で言えば、抑揚を付けるのがうまくなったことである。バランスでは、アンバランスで引き出されていたポテンシャルを継承しながらも曲全体にキレが付加されメリハリが生まれ、盛り上げ上手となる。時にはぐわっと迫るような圧力、時にはまったりとしながらも、後ろの方で繊細な音をさらっと鳴らす余裕さまでも感じられる。

また、繊細さが増したことにより肝心な「音のクリアさ」についても向上したと考えるが、重心がアンバランスよりも低くなったことにより、音のトーンは明るめからナチュラルに変化したと感じられる(Final D8000ほど重厚にはならない)。前述の「少女から成長した妖精」と表現したのはこの辺りの違いからなる。

 

4. まとめ

今回は、Brise Audio UPG001HP Ref. for FOCAL UTOPIA (4極XLR)を導入し、その音質と付属のアンバランスケーブルとの印象の違いについて述べた。

Utopiaはまさに不思議なヘッドホンであり、ケーブルによっても大きく音を左右することが分かった。まだ聴きはじめて間もないため、時間が経つにつれてどのように音に変化が見られるか楽しみな状態である。

これまでHD650、T1 2nd、TH900mk2にてバランス化を行ってきたが、特に今回は一番違いを感じられる結果となった。結果的にリケーブルは成功と結論付ける。

Utopiaを聴いた後にアンバランスケーブルでFinal D8000を聴いた結果、音の表現力に壁がなく動じないほどであり、流石ハイエンド同士であるなと感じたが、流石にUtopiaのバランスとD8000のアンバランスだと音のパワーに違いが見られる結果となった。今後は、D8000のバランス化に注力していく予定である。

  

Focal Elear & Utopiaヘッドホンスタンド

Focal Elear & Utopiaヘッドホンスタンド

 

 

ウマ娘の好きな楽曲5選

1. はじめに

私はBPMが高く、テンションが高めな曲が好きでよく聞いている。特にウマ娘は2016年より注視し始め、これまでSTARTING GATE01からはじまる全ての音源を保有してきた。

今回は、最近アニメ化した「ウマ娘」の曲の中から、個人的によく聞く曲を5つ選び抜いたものを紹介する。

基準としては、曲のスピードがある程度感じられると共にテンションの高い曲を意識している。

なお、テイエムオペラオー最強である。ご了承いただきたい。

 

2. 5選

-大好きのタカラバコナリタブライアン (CV.相坂優歌)、シンボリルドルフ (CV.田所あずさ)、エアグルーヴ (CV.青木瑠璃子)

はじめは穏やかだが、後半につれてスピードが速くなり壮大になっていく曲。合唱曲のようで爽快感がある。個人的にウマ娘の中で名曲な部類。STARTING GATE06の中に収録。

 

- CATCH THE VICTORY! / ウオッカ (CV.大橋彩香)

アニメでは一人称を「僕」と言っていたが、それを感じさせる歌詞と声質がマッチしている。サビ部分も盛り上がり聴いていて気持ちが良い。本当にダービーを勝ってしまうのではないだろうか。STARTING GATE03の中に収録。

CATCH THE VICTORY!

CATCH THE VICTORY!

  • provided courtesy of iTunes

 

- 帝笑歌劇~讃えよ永久に~ / (CV. 徳井青空)

オペ最強。「王」であるのでキャラクタデザインも王冠を被っていたり、派手な服装で登場している。曲自体は自身を誇張しているが、それこそがオペラオーである。キタサンブラックに賞金を抜かされても、永年競走馬最強はオペに揺るぎないのである。STARTING GATE05の中に収録。

 

- Lucky Comes True! / マチカネフクキタル (CV. 新田ひより)

曲のスピードが速く、颯爽と走り去っている様子が伺える。日本的な曲の雰囲気で聴いていても馴染みがあり、「福来たる」を印象づけている。STARTING GATE07の中に収録。

Lucky Comes True!

Lucky Comes True!

  • provided courtesy of iTunes

 

- Special Record!

ウマ娘アニメ第13Rでウインター・ドリーム・トロフィーの後にステージの上で出走馬がライブを披露していた際に流れていた曲。個人的には大好きのタカラバコに次ぐヒット曲となった。「ここで今輝きたい」という歌詞はラブライブサンシャインのテーマと重なっている部分でもあり感慨深い。

 

3. その他

ウマ娘には「うまぴょい伝説」、という代表的な曲がある。それぞれ、CD毎に3人のウマ娘達が歌っているものが収録されているが、個人的に一番好きな組み合わせは...

STARTING GATE 06

ナリタブライアン(CV.相坂優歌), シンボリルドルフ(CV.田所あずさ), エアグルーヴ(CV.青木瑠璃子)

のうまぴょい伝説である。

 

他のうまぴょい伝説の組み合わせと比較して、全体的にキレがあり力強さが感じられる。基本的に、ウマ娘の曲は可愛らしさを持ち合わせた明るい曲が多いが、こちらの組み合わせは気が強めな3人のキャラクタ性(特にシンボリルドルフは生徒会長)であるためか、全体的にトーンが低目でクールな印象を持つ。

ナリタブライアン|ウマ娘 プリティーダービー 公式ポータルサイト|Cygames

シンボリルドルフ|ウマ娘 プリティーダービー 公式ポータルサイト|Cygames

エアグルーヴ|ウマ娘 プリティーダービー 公式ポータルサイト|Cygames

 

4. まとめ

今回は、自身がよく聴くウマ娘のキャラクタソングの中から5つ楽曲をピックアップし紹介を行った。

人気な曲として「シャドーロールの誓い」や「UNLIMITED IMPACT」があるが今回の選出の中に入っていなく申し訳なく思っている。

アニメがスタートし、今後も楽曲が増えていくと思う。トレーナの皆様にはますますのご多幸をお祈り申し上げる。

 

 

KAWAI MP11 (ステージピアノ)を導入

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1. はじめに

私は、3歳から幼稚園卒園までKAWAIのスタンダードな電子ピアノを使用しており、それ以降は自宅でKAWAIのアップライトピアノを弾きながら、時にはコンクールやグレード試験でグランドピアノに触っていた。転居に伴いピアノを続けられなくなった後、ピアノの無い生活を日々送っていた。

さすがに趣味の一環であるピアノを全く触らないことも望ましくないため、ピアノ購入に踏み切り、今回はKAWAIのステージピアノと位置付けられている「MP11」を導入した。

本記事では、MP11を購入した背景と目的を述べ、他機種やグランドピアノ(Shigeru Kawai)との比較を交えながらMP11のレビューを行う。

 

2. MP11導入の背景と目的

現在は一戸建てに住んでいないため、ピアノを配置する場所と音自体に配慮する必要がある。従って、持ち運び可能な電子ピアノの導入が望まれた。組み立て式の電子ピアノは、一度組み立ててしまうと移動が大変な上に、ホコリ掃除などの保守性に課題があったため、軽量のポータブルタイプの電子ピアノを視野に入れた。

また、自身はクラシック系のピアノ演奏を主とするため、「家庭練習向け」「本物のピアノに近い鍵盤のタッチ」「鍵盤数88」を重要選定項目として設定した。なお、自動演奏機能や多音色などの付加価値的要素は導入にあたって無視したが、「グランドピアノに近い音色」はある程度欲しいと思っていたため、サブ選定項目として設けた。

これらをもとに導入検討に伴い、まずは低価格からハイエンドモデルまでの電子ピアノの調査を行い、条件に概ね合致したピアノの試弾を行っていった。

・低価格タイプの検討

はじめにコストパフォーマンスが高めな低価格の電子ピアノから調査を行ったところ、CASIO Privia PX-160とYAMAHA P-115が候補として挙がった。

秋葉のヨドバシで試弾させていただいたところ、PX-160とP-115の鍵盤のタッチはどちらも優れており、練習用として使いこなせそうな印象を持った。PX-160は鍵盤が「ポヨンポヨン」しており押した感覚が柔らかく弾力性があるため、しっかりと弾いている感覚であった。グランドピアノの打鍵感とは少し大袈裟な感じはするが、使いこなせばどんなピアノでも適応できそうな感じであった。また、印象としては全体的に鍵盤の見た目がシュッとしておりグランドピアノの前に座って演奏するような気持ちとなった。

一方、P-115は鍵盤が軽めで弾きやすいが上位グレード(P-255)にも気になり始めたため、この価格帯ではPX-160が候補となった。

カシオ 電子ピアノ プリヴィア PX-160BK ソリッドブラック

カシオ 電子ピアノ プリヴィア PX-160BK ソリッドブラック

 

 

 ・中価格ピアノからステージピアノの発掘

 5万以降からの価格帯を見ていくと、YAMAHA P-255やKAWAI ES8、ローランドのピアノが名乗りを上げてくる。ここからは、低価格帯で好評だったPX-160を基準として、タッチ感や機能を見ていくが、どれもドングリの背比べ状態で結局、電子ピアノとは何が良いのか分からなくなってしまった。

そこで、重要な項目と考えている「鍵盤のタッチ」についてもう一度調査することにした。すると、「木製鍵盤」タイプの電子ピアノはタッチ感が優れているという情報を耳にした。たしかに、これまで触ってきた電子ピアノは全てプラスチック製のものが多かったと共に、グランドピアノに近いタッチ感と質感を求めるならば鍵盤は木製にした方が良いということが分かったので、求める選定項目として新たに「木製鍵盤」を追加した。

上記の内容を基に、より調査をすすめていくと電子ピアノの中でも「ステージピアノ」という種類があることが分かった。

ステージピアノはどちらかといえば、家庭向けよりステージ上や音楽制作向けの電子ピアノと位置付けられている。しかし、一般の据置きタイプより可搬性に優れており、音自体や鍵盤の質感もよく、自宅練習用としても使用できる万能な種類でもある。

また、ステージ上での演奏を見据えているため、背面に種類豊富な音声出力端子が用意されている。従って、ピアノの音色は本体のスピーカではなく音声端子などを介して音を出力しなければならない。しかし、自身はオーディオシステムを構成していることもあり、XLR出力端子からヘッドホンアンプ(LUXMAN P-700u)へ接続すればピアノ音の高音質化が期待できる。個人的には、この辺りもステージピアノの魅力の1つと考えた。

ステージピアノは、自身が重要な項目として挙げていた条件にも近いものでもあるため、この中から木製鍵盤で評価の高い製品を選定することにした。

YAMAHA CP4 STAGE/KAWAI MP11/ROLAND RD-2000の選定

ステージピアノの代表的な製品は平均で約20万ほどであることが分かったため、今回は評価の高い3機種をピックアップしてステージピアノの選定を行うことにした。

どの製品も鍵盤のタッチ感や機能が優れており、このレベルであると個人による好みであるということを前提に、自身の印象をそれぞれ述べる。

YAMAHA CP4 STAGE

3機種の中でも低価格で軽量。タッチ感もよく、ピアノの音色もヤマハグランドピアノのCFXを搭載している、優等生で総合力のあるステージピアノ。そろそろ後継の新機種が出るのではないかと期待されている。

YAMAHA ステージピアノ CP4 STAGE

YAMAHA ステージピアノ CP4 STAGE

 

 

- KAWAI MP11

3機種の中で鍵盤構造に大きな工夫が見られ、タッチ感は自然で最強。特に、鍵盤を指で押す際のクリック感(レットオフフィール)が一番優れていると考える。鍵盤は重めだが強弱がつけやすくクラシックにも適用可能と思われる。音色はKAWAIグランドピアノの「Shigeru Kawai」から。重さが30kg台だが持ち運べるギリギリの許容範囲内。日本よりもヨーロッパなど海外での評価が高い。2018年2月、後継モデルとなるMP11SEが発表され、正常進化したが機能に大幅な差異はないように見受けられる。

 

 

 

ROLAND RD-2000

比較的新しい機種でとにかく多音色、多機能でステージ上や音楽制作に適していると思われる。タッチ感もCP4 STAGEと同様に良好。個人練習用として運用する場合は、機能内容をよく理解し宝の持ち腐れとならないようにする必要がある。ローランドはあまり理解していない部分も多く個人的に敷居は高い。

 

3. MP11試弾とグランドピアノとの比較

この時点でお察しかと思われるが、私はKAWAIの元生徒であったこともあり、導入ピアノはほぼMP11に傾いていた。一応、最後までYAMAHA CP4 STAGEと悩んでいたため、カワイの店舗にてMP11の試弾をしに向かった。同時に、ここでKAWAIグランドピアノである「Shigeru Kawai」の試弾も行い、MP11とのタッチの差を確認しようと考えた。

早速、KAWAI表参道に行くと営業の方が丁寧に対応していただいた。はじめに、MP11の近くにMP7も展示されていたため、試弾したところMP7は鍵盤を押すと「ストン」と落ちる感触であったがMP11はしっかりと弾力性がありながら「コトン」と落ちる感触だった。長い時間ハノンやベートーヴェンピアノ曲を弾かせていただきながら、製品についての話を聞いていると、やはり海外で定評があり多くの様々な動画でも取り扱われているようだった。

長い時間MP11を弾いている感覚としては、やや鍵盤が重い感じはあるが特に指へのストレスもなく楽しみながら演奏曲に浸れるものであった。

次に、Shigeru Kawaiの試弾を行った。グランドピアノが10台以上展示されている中で、私はSK-6とSK-7を弾いた。それぞれ400-660万ほどの価格帯である。

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グランドピアノとMP11の違いは3点ある。鍵盤の重さ、レットオフフィールの自然さ、パワーであった。

・鍵盤の重さについて

グランドピアノは調律次第で鍵盤の重さを変えることは可能だが、MP11の鍵盤は重めに設定されている印象を受ける。従ってMP11は音の強弱のメリハリをつけることが容易だが、演奏者の表現力が求められる機種であると考える。個人的には鍵盤は軽いよりも重いほうが有利であると見込んでいる。なぜならば、軽い鍵盤で慣れているといざ重い鍵盤でコンクールの本番を迎えるとなった際に、力不足さが出てしまう恐れがあるからである。実際にこれは幼少期に体験していることである。

・レットオフフィールの自然さについて

レットオフフィール(鍵盤のクリック感)については、グランドピアノの鍵盤は素直に自然に鍵盤が落ちていたが、MP11はそれより少し硬めの感触であった。しかし、タッチ感を重視している自身にとってはこれでも満足な感触である。(余談だが、MP11の鍵盤がよりグランドピアノに近付いた機種が据置き型の「CA98」であると考えている。)

 ・パワーについて

グランドピアノはやはりパワーがあり、電子ピアノでは表現できない音の幅があるように感じた。特に、鍵盤を強く押した際の迫力はグランドピアノならではであり、逆に実力差が完全に出てしまうものであった。この辺りは、実際のレッスン等で補えられるほかに、自身のオーディオシステムで音の増幅加減を調整しようと考えた。

 

以上の違いを見出しながらも、MP11は「確かなピアノへの再現度」と「弾く楽しさ」を持ち合わせている機種であるという結論に至りながら、最終的には決算の時期かつMP11SEも出たばかりで価格の面でも親切に対応していただき、このたび実店舗にて契約に至った。

 

 

 

4. MP11レビュー

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実際にMP11が自宅に届き、設置作業に入った。MP11は本体重量が30kg代あり、1人で机に載っける作業は本当に苦労した。重いぶん、弾く際に本体が大きく揺れることはなく安定性があるが、ピアノの位置を変更したい場合は2人体制で運ぶことをおすすめする。自身としても、1人での設置作業はもう行いたくない状況である。

付属品は、ピアノ本体のほかに楽譜台とペダルがある。どちらもしっかりとしたつくりであり、重さもある。※ブログトップに掲載している赤色の鍵盤カバーは別売り。

設置が完了した後は、ハノンを一通り弾いてみた。なお、ピアノのヘッドホン端子にHD650をアンバランス接続し、音を出力している。また、電源ケーブルLUXMANJPA-10000を使用している。音自体は非常に綺麗であり、篭った感覚は無かった。また、各鍵盤もタッチ感は前評判どおりで実際のピアノに近い演奏を行うことが出来た。

いくつか弾いていると、試弾段階ではあまり触れていない部分であった機能があることに気付いた。MP11は、ピアノの残響等の調整を細かに設定できる。以下に自身の設定例を示す。

・リバーブ(REVERB)の設定

オンにし、タイプをConcert Hall(コンサートホールの残響)に、PreDelay(残響がはじまる時間)を100.8msに、Time(残響の長さ)を1990msに、Depth(残響の深さ)を10に設定した。

・PIANOセクションの設定

PIANOセションでは、ConcertGrandモードに設定した。

Damper Resonance(ダンパーレゾナンスの音量)を5に、Stereo Width(ステレオ音の拡がり具合)を127に、Brilliance(音の明るさ)を0に、Touch(タッチ)をNormal(アコースティックピアノと同程度のタッチ)に設定した。

 

このように、鍵盤自体は重めでも音を出しやすく設定することも可能であるため自分好みのピアノをデジタル的に設定することができる。

 

演奏例 : 

4. まとめ

今回はKAWAI MP11導入に至るまでの背景を述べ、実際にMP11を弾いた際の印象について、グランドピアノの違いについて、導入後の設定例を示した。MP11やステージピアノに興味がある方向けに、情報共有が行えれば幸いである。電子ピアノは調律や乾燥剤などのメンテナンス費用が不要であることも利点である。腕と予算を検討しながら、様々な電子ピアノに積極的に触れることが必要であると考える。

今回の導入にあたって特に感じたことは、実店舗で製品を購入することの重要さである。特に、電子ピアノはサイズが大きいものとなるため配送による品質確保も求められる。今回は実店舗で購入したため丁寧に配送を行っていただき安心して導入が行えたが、ネット購入による配送中の故障もたびたび起こるようである。自身のオーディオ機器購入に際しても、今後は参考にしていく予定である。

自宅の構成について、今後はMP11とヘッドホンアンプを接続し以下のように構成していく。

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LUXMAN JPC-10000を導入 -BELDEN 1192Aとの比較

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1. はじめに

現在、自身の環境ではLUXMANを基軸として音響機器を構成しており、ケーブルも全てBELDEN 1192AのXLRで各機器を繋いでいる。音響ケーブル自体に拘りはこれまで無く、電源ケーブルのみを上位のもの(JPA-15000)に変更して運用していた。

電源ケーブルの変更によって、音自体の底力を引き上げることが出来ることは認識しており、その違いを感じることは容易である。しかし、高価なXLRケーブルの変更によって音質の違いを確認しても僅かな音質の差しか得られなく、コストパフォーマンスも悪く味付け程度のものだと思っていた。

従って、今回はXLRケーブルであるLUXMANのJPC-10000を導入し、得られる音質を探るとともにBELDEN 1192Aとの比較についてレビューを簡易的に述べる。

 

2. 接続環境

今回は、様々なパターンで音質を確認した。

①DA-06 --(BELDEN 1192A)-- P-700u -- HD650 バランス

②DA-06 --(LUXMAN JPC-10000)-- p-700u --HD650 バランス

③DA-06 --(LUXMAN JPC-10000)-- LS-X0i -- (1192A)-- p-700u --HD650 バランス

というダイナミック型の組み合わせと、

④DA-06 -- (BELDEN 1192A) -- C-800f -- (1192A)-- SRM-727A -- SR-009

⑤DA-06 -- (LUXMAN JPC-10000) -- C-800f -- (1192A)-- SRM-727A --SR-009

⑥DA-06 -- (LUXMAN JPC-10000) -- LS-X0i -- C-800f -- (1192A)--SRM-727A -- SR-009

 のコンデンサ型の組み合わせを用意した。*1

なお、DA-06/P-700u/C-800f/SRM-727Aには全て電源ケーブルJPA-15000を適用しているものとする。

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※JPC-10000は電源ケーブルJPA-15000よりもケーブルの太さが1.8倍ほどある。

 

3. 比較試聴

再生ソフトウェアはFoobar2000。音源は、欅坂46の不協和音(FLAC96kHz)。

※試聴  

不協和音

不協和音

  • provided courtesy of iTunes

 

はじめにダイナミック型で聴いた際の印象を述べる。

①DA-06 --(BELDEN 1192A)-- P-700u -- HD650 バランス

②DA-06 --(LUXMAN JPC-10000)-- p-700u -- HD650 バランス

③DA-06 --(LUXMAN JPC-10000)-- LS-X0i -- (1192A)-- p-700u --HD650 バランス

②のLUXMAN JPC-10000を適用すると、音全体が弾けるようによりダイナミックな雰囲気に包まれる。①のBELDEN 1192Aとの劇的な変化は感じられないが、造り出される音の印象が若干変化した。ドラムの音はより深く「バァン」「シャアン」と弾けるように鳴るとともに、Focal Utopiaが拾うような細かい音もより緻密に静かに鳴らすように見受けられる。LUXMANの音を継承しつつも、全体的な音質の底上げは感じられた。

反対に比較すると、①BELDEN 1192Aを適用すると、音全体が明るく直接に耳に訴えかけてくる音楽を奏でる。JPC-10000との価格差は大きく違うが音自体が劣化している印象は全く持たず、正直な音を常に鳴らし続けていると感じられた。

なお、③のXLRセレクタ(LS-X0i)を挟んだ場合でも大きな差異は感じられず、若干①よりも再現度は減った印象を持ちながらもブラインドテストで比較した場合、完全に意見が分かれるという印象であった。この場合は、JPC-10000とBELDEN 1192Aの良いとこ取りがうまく融合されたように思えてくる。

こちらの音質比較においては、音質の強化というよりかは「味付け具合の個人の好みによる」ものなのだなと認識した。

 

続いてコンデンサ型での印象を述べる。

④DA-06 -- (BELDEN 1192A) -- C-800f -- (1192A)-- SRM-727A -- SR-009

⑤DA-06 -- (LUXMAN JPC-10000) -- C-800f -- (1192A)-- SRM-727A --SR-009

⑥DA-06 -- (LUXMAN JPC-10000) -- LS-X0i -- C-800f -- (1192A)--SRM-727A -- SR-009

 基本的にはダイナミック型の①②③と同じ傾向だが、SR-009で音を聴くと低音の量感やテンションが大きくなったと感じる。途中、C-800fとSRM-727Aの間に1192Aが挟む形となっても音自体については多少JPA-10000の分も味付けされた結果となった。

⑤と⑥は②と③と同様の結果となった。

 

4. まとめ

今回は、LUXMAN JPC-10000を導入し、これまで機器間を接続していたBELDEN 1192Aとの比較試聴を行った。

1192Aは、音がフラットかつクリアで正直な音を出すのに対し、JPC-10000はオーディオらしい敷居の高い味付けした音造りをしているケーブルであると共に、奥行きのあるよりダイナミックな音を演出するケーブルであることが分かった。

BELDENというと、1192Aのほかに8412も評価が高いがこちらはDA-06とP-700uとのRCA接続で使用している。現在はD8000とFocal Utopiaでアンバランス接続を行っているが特に不満はなく、音自体が荒れている印象もない。

高級なケーブルにも多少音への変化があることが確認できたが、正直価格に見合う変化は少なく、電源強化が最も効率的であることにも気付かされた。

味付けしないフラットな音が好きならば、1000円代で購入できる1192Aでも良い気はするが、自身としても今後は更に敷居の高いオーディオらしい音にも触れていきたいと思う。今後またXLRケーブルが揃ったら順次展開していきたいと考えている。

LUXMAN AVケーブル JPC-10000

LUXMAN AVケーブル JPC-10000

 
ハイパーツールズ BELDEN 1192A XLRケーブル 1m EC-1192A-B-01

ハイパーツールズ BELDEN 1192A XLRケーブル 1m EC-1192A-B-01

 

 

*1:LS-X0iはXLRのセレクタであり、これにより音質に差異が発生するかの検証を行っている。

TAG Heuer S/elの魅力について

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1. はじめに

私は10年以上、腕時計であるタグホイヤーのS/elを愛し続けている。そもそもタグホイヤーとは、スイスの高級時計メーカーでありながらも、比較的手を出しやすい価格帯でスポーティなデザインから落ち着いたデザインなど幅広い種類の時計を展開している。

F1のアイルトン・セナや、テニスの錦織圭とスポンサー契約していることでも知られ、歴史とともにスピードと究極を制してきたブランドである。

私は、タグホイヤーがリリースしてきた時計のデザインの中でも、1980年台後半に登場し始めたスポーツエレガンス(以下、S/elという)のデザインが大好きであり、過去に5つ所有していた経験がある。

現在はクォーツ2つと機械式1つの計3つを所有しているため、本記事ではその魅力について述べる。

 

2. S/elとは

S/elの特徴は主に3点ある。

1) S字のブレスレット

人間工学に基づいたブレスで、S/elの最も特徴と言えるものである。実際に腕に装着すると、違和感を感じず装着していることを忘れてしまうほどの快適な着け心地である。

個人的には金と銀のS字コマが交互に配置されたブレスを好むが、これらの組み合わせは自由であり、銀のコマのみでブレスを構成することもできるなど比較的自由度の高い造りにもなっている。

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2) 200m防水

S/elはダイバーズウォッチとしても使え、防水機能を備えている。文字盤のガラス周囲にあるベゼルは反時計周りに「カチカチ...」と手で回すことが出来る。しかし、竜頭が浮いていたり、裏蓋を自身で開けた場合は、防水とはいえ文字盤やガラスが曇ってしまう。実際に、湿気によりインデックスの塗料が劣化している中古品もよく見られる。

以下の画像は、クォーツのS/elを自身で電池交換した際に撮影した写真である。S/elはメンテナンス性にも優れており、電池の交換やベルトの調整を含めアマチュアでも簡単に手入れが行えるがこの時点で防水機能は失われるため、メーカにメンテを依頼をするのが最善な手法となる。

(本時計のボタン電池SR927SWを交換したもの)

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3) 多種多様なS/elのデザイン

自身が所有しているのは、クォーツの「S95.213K」「S95.713K」とオートマチックの「CG-2121-R0」の3つであり、いずれもブレスやベゼルが金色であるが、全て色が銀色で統一されたモデルも存在する。また、クォーツやオートマチックのいずれかから選択肢があり、なおかつ三針タイプやクロノグラフの種類として豊富にある。その数は30種を超えると思われる。

なお、クロノグラフは型番が「CG」からはじまり、その後に四桁の数字が並ぶ場合が多い。例えば、CG-2◯◯◯からはじまるならば12時、9時、6時位置に3つのインダイヤルが並ぶモデルなどである。

※例外もあり、CG-◯◯◯◯-◯などモデルチェンジされているモデルもある。

この規則で様々なモデルをGoogle等で検索していくと、特に気になるモデルがヒットすることもある。私が今まで現物として見たことのないS/elのモデルが「CG-1125」である。恐らく後期に製造されたものだと思うが、文字盤に金色の円が中央に小さくあり、同時にインダイヤルの枠も金の枠で描かれている。

「CG1120-1」と似たモデルであるが、文字盤がグレーと金の配色が個人的に大変気に入っており是非とも一度見てみたい時計の1つである。

3. S/elの魅力

通常の腕時計のブレスは、革製のものであったり、ステンレスの長方形状の部品がいくつかに繋がって無難な種類が多い。しかし、最大の特徴であるS字型のブレスはもはや芸術であり、見て楽しむことも出来るほど強く引き寄せられるものでもある。

また、オートマチックのS/elにおいては当時のムーブメントの歴史に迫ることも出来る。自身のCG-2121には恐らく、代表的なクロノグラフのムーブメントであるETA7750が搭載されている。S/elの各々が整ったデザインを見ながら、当時の機械式時計の成立ちを考え、浸ることも趣がある。

最後に、S/elは特に90年代に人気となった時計でもある。当時放送されていた「古畑任三郎」の田村正和もS/elのアイルトン・セナモデル「S25.706」を装着していたと記憶している。特にそのモデルが見える古畑任三郎の回は、「ニューヨークでの出来事」や「さよなら、DJ」である。「さよなら、DJ」では実際に古畑がクロノグラフを操作しているシーンも見受けられる。

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4. まとめ

今回は、自身が気に入っているタグホイヤーS/elの概要について述べ、特徴や魅力について紹介した。S/elは現在、販売されていないが新たなモデルである「LINK」にそのデザインが継承されている。

タグホイヤー LINK」はS/elのブレス形状を継承し、S字のカーブをよりスタイリッシュに、平べったいステンレス製の素材で構成されている。特に、LINKのキャリバーSは個人的に好きなデザインであり、一時期購入を考えていたものでもある。

しかし、依然S/elの人気も衰えることもなく、様々な中古市場で多くのS/elが出回っている。比較的2万~10万ほどで購入できるため日常的にすぐ使用できる時計でもある。更にS/elは種類も多いため、前期に製造されたものや後期に製造されたものまで文字盤の形状や印字などが多岐にわたり、非常に歴史の奥深さも感じさせてくれる。

S/elは写真で見ると平凡な印象を受けてしまうかもしれないが、文字盤やインデックスを実際で生で見ると、その繊細さや輝く各部品にうっとりしてしまう時がある。他の時計もそうかもしれないが、私にとっては特別S/elが美しく芸術品のように思える一生の時計である。

クラシック系音楽のお気に入り曲10選

1. はじめに

私はピアノのレッスン中など、なにかのきっかけで印象深くなった曲や、テンポの速いクラシック音楽を好む。

今回は弦楽器がよく用いられるクラシック系の中から、個人的によく聴く「リピート曲」を10つ選抜したものを紹介する。紹介する曲はピアノソロやコンチェルト、オペラなど幅広く取扱う。

基準としては、明るく暗くとも激しさを持ち合わせている曲を意識している。

なお、曲の紹介順については特に意味はない。音楽のテストのような「当時の情景を想像して曲の感想を述べる」感じではないため、軽い感じで曲の流れを掴んで頂ければ幸いである。

 

2. 10選

- ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番ハ短調 作品18 第一楽章と第三楽章

第一楽章 : 曲の中盤まで溜め。中盤で盛り上がる。しかし、その盛り上がりも長くは続かず、逆にそれが飽きさせない絶妙な時間となって何回もリピート。

第三楽章 : 第一楽章で感じられていた「寂しい世界」から一転、後半ではそれを継承しつつも、気分を取り戻すかのような盛り上げ方が癖になる。

スタニスワフ・ヴィスウォツキ指揮の演奏が好み。

 

- ルスランとリュドミラ 序曲

 明るく、気分が盛り上がる。個人的に1番好みで聴いていて楽しい。ヘッドホンのFocal Utopiaとの相性が良いと感じる。ムラヴィンスキー指揮の高速Verが好み。

 

- チャイコフスキー 1812年(序曲)

 曲の後半で大砲が用いられる豪快さで有名(殆どが打楽器で代替)。のだめカンタービレでは大砲の映像が映っている。クラウディオ・アバド指揮の1812年が好み。

 

- チャイコフスキー ヴァイオリン協奏曲 第三楽章

ヴァイオリンといえばこれ。第一楽章の主題の方が有名だが、後半のハイスピードさと躍動感溢れる第三楽章が癖になる。ルスランとリュドミラ序曲の次によく聞く。

ナタン・ミルシテイン演奏のものが好み。(動画は別演奏)

 

- ベートーヴェン 交響曲第9番 第四楽章 (合唱)

合唱付きで1番ハマる曲。これは非常に有名な曲かと思われる。

バーンスタイン指揮の第四楽章が好み。(動画は別指揮)

 

- ヴィヴァルディ 四季 冬 (協奏曲第4番ヘ短調RV.297) 第一楽章

基本的にテンポがはやいのが好み。ヴァイオリンの美しさを感じさせてくれる流れるような曲。

 

- ショパン エチュード Op.10-4

練習曲だが曲の美しさが充分に感じられる。こちらは自身も弾いた経験があり、弾きこなすまで多くの時間を費やしてしまったものでもある。

曲の最後については弾いていて楽しく、あまり難しさもないように感じるが、曲途中のダブルシャープが飛び交う16分音符が非常に辛かった記憶がある。「そういえば練習曲だった」と我に帰ってしまいながら演奏者にとっては辛く、聴いている方からすれば美しく感じる複雑な曲である。

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- ベートーヴェン ピアノソナタ第14番 月光 第三楽章

弾いていて爽快感と達成感が生まれる曲。とにかく最初が格好良く、聞き惚れて自分も必死になって練習をした作品。満足な演奏は未だできていないが、個人的に終わりの見えないどこまでも続くピアノソナタで飽きを感じさせない。

なお、この曲がモチーフとなっているJ-POPが℃-uteの「夢幻クライマックス」。革命のエチュードと月光が混ざっており、初めて聴いた時は圧倒された。革命は音が下がっていくが、月光は音が上がっていくといった対比も趣がある。

夢幻クライマックス/愛はまるで静電気/Singing~あの頃のように~(A)

夢幻クライマックス/愛はまるで静電気/Singing~あの頃のように~(A)

 

  

- 夜の女王のアリア (歌劇 魔笛より)

稀に「難曲」とも捉えられるオペラ。私が小学生の時は歌えたが、今は全く声の高音が出なくなった。 曲自体は暗いが、退屈がなく最後まで緊迫して聴けるので好み。

 

- 誰も寝てはならぬ

爽快感のあるオペラ。後半の壮大な展開が好み。フィギュアスケートの曲にもよく使われているので馴染みのある曲だと思われる。

 

3. まとめ

今回は、クラシック音楽でよく聴く音楽を10つ紹介した。クラシックに精通している訳ではないため、好きな曲を偶然見つけては弾いたりリピートしている。従って、新たな曲を見出すのに時間が掛かる。今後、これらを上回る曲に出会えればと思っている。

今回紹介した曲はそれぞれSR-009やUtopiaとの相性がよく、時にD8000で聴くと余韻のある上質な雰囲気を演出してくれる。また、機会があれはHD800でも聴き直してみたい。

アニソンも良いが、たまにはクラシックで耳を癒やすオーディオ生活も良いかもしれない。

 

STAX SR-009

STAX SR-009

 

 

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