おうまさん

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春のヘッドフォン祭 2019に行ってきた -Focal Stellia、D8000 Pro Edition、ULTRASONE Edition 15 Veritasなどを試聴

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1. はじめに

春のヘッドフォン祭 2019で今回も様々なハイエンドヘッドホンを試聴した。個人的に興味のある比較的新しいヘッドホンについて実際に試聴が行えたので、本記事では「試聴したハイエンドヘッドホン」の紹介と、「聴いた際の印象」を述べる。

なお、静かな会場や上質な電源環境で試聴したわけではないため、多少の認識の違いや個人の捉え方についてご了承いただきたい。

 

2. 試聴ヘッドフォンラインナップ

2019年春のヘッドホン祭で試聴したヘッドホンは6つある。

・Focal Stellia

・Final D8000 Pro Edition

ULTRASONE Edition 15 Veritas

HiFiMAN Jade II

HiFiMAN SHANGRI-LA.jr Headphone

STAX SR-L700 MK2

 

 

 

3. Focal Stellia

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LUXMANブースでは、Utopiaの流れを汲む密閉型ヘッドホンである「Focal Stellia」が展示されていた。今回は、こちらのヘッドホンをメインに試聴するため、事前に自宅の環境でFocal Utopiaを念入りに試聴し出掛けたので、実際のFocal Stelliaとの違いについて深く述べようと思う。

自宅の試聴環境 : ES-1200 -> DA-06 -> P-700u -> Focal Utopia (バランス)

会場の試聴環境 : ES-1200 -> DA-06 -> P-750u -> Focal Stellia (バランス)

                          ES-1200 -> D-06u  -> P-750u -> Focal Stellia (アンバランス)

 

UtopiaとStelliaを実際に聴いて感じた部分は、

・音の抜けはUtopiaが上だが、解像度などの基礎性能はUtopiaとほぼ似ている

・両者とも相変わらず細かい音を確実に拾う

・環境やリケーブル次第で低音強化等の調整が見込める

・音量ボリュームは、自宅のP-700u*Utopiaで10時位置、会場のP-750u*Stelliaでも10時位置で丁度よい大きさ(バランス/アンバランスともに)。

という点である。

Utopiaは開放型らしく、左右で広がった音が外にしっかりと抜けるが、Stelliaは密閉であるため内部で広がった分、そのまま詰まった表現になっているように感じた。しかし、Stelliaの左右に広がるまでの音の感覚はUtopiaと大きく変わらず全く違和感が無かったため、密閉型でこれだけのUtopiaの再現度を実現したStelliaは、非常に魅力ある製品であると考えている。

Utopiaの音の繊細な音は継承しつつ、Stelliaはそれにプラスして美音系で、全体的に艶があるように見受けられた。もちろん、アンバランスよりバランス端子で聴くと、より音の見晴らしが良くなり聞きやすくなった。

最後に、海外のブースの方と軽く会話をさせていただいた際に、Stelliaは密閉であることを活かし、ポータブル機との相性も良く音量も取りやすい製品であることを共有していただいた(Utopiaのインピーダンス=80Ω、Stelliaのインピーダンス=35Ω)。

内外でも気軽に高音質を楽しめる密閉型をオススメするのならば、是非ともFocal Stelliaを勧めたいと感じた。

 

4. Final D8000 Pro Edition

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Finalブースでは、ヘッドフォン祭前にアナウンスされた「D8000 Pro Edition」が参考展示されていた(画像右)。また、現行のD8000の色違いとして、シルバーバージョンが参考展示されていた(画像左)。

D8000のシルバーバージョンについて

・シルバーバージョンで色や素材が変わることによるヘッドホンの重量や音質に特に変化はなく、カラーリングの違いのみのようである。実際に、D8000のシルバーバージョンにシルバーコートケーブルで音を確認したところ、以前自宅で聴いていたD8000の音と同様の音質で確かに聴き取ることができた。

 

D8000 Pro Editionについて

D8000 Pro Edition*シルバーコートケーブルと、D8000シルバー*シルバーコートケーブルで聴き比べを行った。

音質の大きな違いとして、現行D8000は、空間表現重視で全体的にふわっと仕上げている印象を受けるが、D8000 Pro Editionは、音全体をより聴きやすくカッチリとまとめていた印象を受けた。具体的には、D8000 Pro Editionは現行D8000よりもボーカルがより前面に主張し、それにつれて周りのボヤッとしていた音も鮮明に出すようになっている。

D8000は高品質な低音が特徴的であったが、D8000 Pro Editionになると周りの音が主張し始めるため、低音はそれらに多少埋もれる形となる。しかし、D8000 Pro Editionは、現行D8000の基本的な姿勢は崩さずに、空間的な演出よりも真っ直ぐな音質を重視とした形に仕上がっていると考えられる。

他メーカーの音の傾向の変化という観点で類似した例を出すと、STAXのSR-009とSR-009Sがある。SR-009では、音を直接的に耳に訴えかけ、線のあるキレのある音を自然に鳴らしていたが、SR-009Sでは009よりも音が柔らかく、音場も付加され柔らかい表現になった。D8000はこれの反対で、現行D8000は既に音が全体的に包み込むような音造りであったが、D8000 Pro Editionでメリハリ感のある音造りへと変化したというイメージである。

個人的には、D8000 Pro Editionの音造りが好きであった(D8000を手放した理由が、多少ボワッとした表現が気がかりであったため)。

ブースの方によると、現行D8000とD8000 Pro Editionとでは音の好みが別れているそうである。ちなみに、現行D8000では将来のアップグレードを見据えて部品構成がバラしやすいよう工夫されている。D8000からD8000 Pro Editionへのアップグレードの可能性をお聞きしたところ、現時点では参考出展に留めているため、アップグレードの可否については未定とのことであった。

D8000 Pro Editionの中身の素材等が、現行のD8000とまた異なっているようであるため続報に期待したい。

※上記の情報は2019/4/27現在のものである。

 

5. ULTRASONE Edition 15 Veritas

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ULTRASONEのEdition15の密閉型として登場した製品が、「Edition 15 Veritas」である。上の画像で言えば、手前がEdition 15 Veritasで、奥が通常のEdition 15である。

 今回は、Edition 15とEdition 15 Veritasの比較試聴を行った。

通常のEdition 15は、モニタ寄りの音で必要充分な表現である。Edition 15 Veritasは、通常のEdition 15の音を継承しつつも中でその音が反響し、中域に癖が出ていたのが印象的であった。傾向としては、HD800SからHD820ほどの変化ではないが、多少感覚的に共通している部分があるのかな、という感じであった。

※今回、両者ともにポタ機で試聴したため本来の実力をフルに発揮できていなかった可能性がある。Edition15においては、前回Chord DAVEで試聴したため、音質も今回と多少異なっていたように見受けられた。

 

6. HiFiMAN Jade II / SHANGRI-LA.jr Headphone

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自宅のSUSVARAとの印象の違いを軸とした、簡素な所感を述べる。

HiFiMAN Jade IIは、SUSVARAのような音のアタック感はなく、静電型らしい優しいふんわりとした音の表現が特徴的であった。癖はなく、ずっとリラックスして聴いていられる感じであり、STAXに一番近いモデルなのでは、という印象だった。

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SHANGRI-LA.jr Headphoneは、Jade IIよりも更に音を柔らかくした感じで全体的に眠たい表現だった。個人的には、Jade IIの音が空間的にもメリハリ的にも丁度良く聞こえた。

 

7. STAX SR-L700 MK2

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STAXのリケーブル可能なイヤースピーカー。リケーブルによる音の鮮度も失われないように工夫されているようで、評判が良ければ今後の上位モデルにも、同じような機構が採用されるのかと楽しみにしている。

STAXのケーブルは長めで、取り回しは良いが、より短いケーブルと交換できると良いと感じている。

 

8. その他 (RAAL SR1a)

世界初の“トゥルー・リボンヘッドフォン”として、「RAAL SR1a」というヘッドホンが話題となっていた。今回、本ヘッドホンの内容をあまり理解していなかったため、試聴を敬遠していたが、後々調べてみるとヘッドホンの鳴らし方に特徴があり、次回以降の機会に是非試聴してみたい製品となった。

スピーカー駆動用のアンプとドライバーユニットを接続してヘッドホンから音を鳴らしたり、装着方法であったりと、実に個性的な要素が並ぶ製品で、これまでとは違ったアプローチで新たな音質を追求する姿勢に感銘を受けた。

※実際に試聴した結果はこちら→

 

9. まとめ

今回は、2019春のヘッドホン祭で試聴したヘッドホンと、試聴した際の印象についてそれぞれ述べた。

最近の傾向としては、開放型で評判の良い製品の音質をもとにした、密閉型バージョンの開発・リリースが相次いでいる。ヘッドホンの需要としても、内外問わずに聞けるようなラインナップが重要視されているのだろうか。実際に、開放型の音質の流れを汲む密閉型ヘッドホンの音を確認した結果の印象としては、以下のようになった。

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自宅で聴く勢としては、今後も開放型の拡充を望んでおり、更なる盛り上がりを期待している所存である。

 

・おまけ

ネタで再現したところ、今回のゼンハイザーブースも大体こんな感じだった。 

final D8000 FI-D8PAL 平面磁界型ヘッドホン

final D8000 FI-D8PAL 平面磁界型ヘッドホン

 

 

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