1. はじめに
Focal Utopiaを導入して1年少しが経過した。ふと、Utopiaで音を再生していると右chから音が出なくなり、左chのみから音が出続ける事象が発生した。ヘッドホンの修理事例に関する記事は少なく、特に海外メーカによる製品の修理は代理店を経由するため、修理に関する情報の収集が難しい。従って本記事では、右chから音が出なくなったUtopiaを実際に修理依頼し、それに至るまでの過程や修理費用を述べ、修理結果を共有する。
なお、Focalでは購入から2年間、ヘッドホンおよびイヤホン製品の素材または製造に起因する故障を無償で修理*1するが、今回は保証書を紛失したため有償にて修理を実施した。
2. Utopiaの故障内容
自宅では、以下の構成でUtopiaの再生を行っている。今回、曲を再生するとUtopiaの右chから音が全く出ない事象が発生し、修理を検討した。なお、Utopiaのケーブルを変更して曲を再生したが、いずれも右chから音は出ないことを確認した。また、SUSVARAやHD650側での再生に問題はなかったため、DACやアンプ側の不具合ではなく、ヘッドホン本体のユニット部に問題があることが分かった。
3. 修理情報(LUXMAN)
3.1 修理依頼の方法
2017年7月より、LUXMANはFOCALの製品の取扱いをはじめた。それに伴い、LUXMANのサービスセンタにてFocal製品を受け付けるようになった。*2修理の方法としては、購入した正規取扱店に相談するか、LUXMANのサービスセンタに依頼するかとなるが、普段より自社製品の修理を行う傍ら、Focal製品の修理を併せて受け付けることは安心感があり、今回は直接LUXMANのサービスセンタに修理を依頼することとした。
修理の依頼に際しては、LUXMANのサービス情報の記載にある通り、サービンセンタへ修理の電話のあとに、送付時必要事項を添えてサービスセンタに元払いで送付するのみである。詳細については以下のリンクを参照されたい。
※必要事項は「修理依頼書」がリンク先に用意されているので記入する。
3.2 修理品の依頼から返送まで
元払いで発送後、二営業日で修理内容に関する連絡をいただいた。今回の不具合内容はドライバのコイルが切れていたらしく、交換が必要であるということだった。
修理内容の説明においては、修理金額やそもそもの修理に係る部分など配慮をいただいた。特にドライバの交換はその日中に交換できるという素早さで、普段から修理を請け負っているからか、非常に手慣れている印象を受けた(一応、Focalの担当者を招いてメンテナンスの講習も行っているようである)。
ドライバの交換後はエージングを24時間行い、その後返却に至るようである。
修理完了は、元払いの発送から四営業日で、その旨の連絡を再度いただいた。最終的な修理金額と支払いについての案内があり、即座に振込みを行ったところ、即日サービスセンタからの発送通知をいただいた。
結果的に、修理済の製品が手元に戻るまで五営業日であった。土日を含んで一週間ほどで戻ってきたため非常にスピーディな修理をいただいた。参考程度に修理金額を共有すると、Focal Utopiaのドライバはベリリウムが使用されているということもあり、
「¥105,000 (税抜、別途技術料、別途往復送料)」
が修理費として必要となる。なお、海外製品のため経済情勢や消費税上げに関わり、費用の変動は随時あるかと思われるので、考慮されたい。
//2021.11.18 追記
ラックスマンちゃんから、Utopiaの過去のドライバ壊れやすかったんで前の修理金額全額返金するで〜って言われた。相変わらず代理店としてめちゃ対応よかった。
— うまうま (@umauma2010) November 18, 2021
ここ数年のドライバは改善されてるみたいだけど初期の頃のは脆いってどこかで言われてたもんねえ。ありがとありがと!
//2021.11.18 追記
修理費の所感としては、本体40万のヘッドホンフラッグシップ製品の金額としては「致し方ない」という形である。逆に、代理店がLUXMANではなかったら今回の修理費や修理に要する時間も数倍要したと思われる。Focalの代理店がLUXMANで恵まれた...というのが正直な感想である。
Focal Utopiaの修理、LUXMANちゃんはパワプロだったら「代理店◎」の特殊能力がつく
— うまうま (@umauma2010) 2019年6月17日
3.3 修理後
光り輝くようにUtopiaは梱包されて帰ってきた。Utopiaがいない間、SUSVARAやSR-009で音楽を聞いていたが、曲の空間表現や表現方法が特出している分、繊細な元気な感じが薄れてしまっている部分もあったため、Utopiaの妖精さんのような元気な音色を待ち望んでいた。エージングされて出荷されたとはいえ、これからも自宅の環境で鳴らしつつ、メインヘッドホンとしてLUXMANともに稼働していく予定である。
4. その他ヘッドホンの修理事例
これまで所有していたヘッドホンの中で、修理を行った事例があるためそれぞれのメーカの対応履歴について紹介を行う。ヘッドホン自体、丁寧に扱っていても壊れるときは壊れるものだと実感している。
<TH900mk2>
事象 : 左chから音が聞こえなくなる。
対応 : サポート経由でメールで対応。メーカから約一週間で返送。左ドライバの交換。保証期間内のため無償修理。ドライバ自体の交換は有償の場合、数万と思われる。その他技術料金。
<SR-009>
事象 : 音の再生中、イヤースピーカー左chからノイズが発生する。
対応 : サポート経由でメール・電話で対応。メーカから約1-2週間で返送。保証期間として発音体交換、ケーブル交換。その他、製品内の清掃。発音体の交換は有償の場合、10-20万程度と聞いた。ケーブルは数万。その他技術料金。
以上のように、日本のメーカの場合はレスポンスがはやく、信頼感が違うため安心してヘッドホンを取り揃えることが出来る。
5. まとめ
今回はUtopiaの故障内容を述べ、実際の修理事例を記載した。ピュアな音を求めるために高額な海外製品へ手を伸ばすことがあると思うが、機器の運用保守も一つの要素として視野に入れておかなければならないと感じる場面もあった。LUXMANはFocal製品ながらも、代理店として品質の高いサービスを提供していただき、今後も安心して運用できそうなイメージをもった。
今回はUtopiaを事例に紹介を行ったが、Elegia、Clear、Elearなどは紹介した修理費より比較的安価に収まると考えられるため、定期的なメンテナンスや故障時の参考となれば幸いである。あ、ラックスマンはいいぞ