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はやぶさ2の目的の一つである「生命誕生の秘密」を探る本について

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1. はじめに

 2019年7月11日に、はやぶさ2は小惑星の「リュウグウ」に二回目のタッチダウンに成功し、惑星の地下の砂や石などの物質を採取した。そもそも、はやぶさ2は何故これらの事を行っているのか目的を考えたとき、公式サイトにて以下の記述を発見した。

はやぶさ2」が目指す小惑星は、(162173)リュウグウです。リュウグウはC型の小惑星ですが、太陽系が生まれた頃(今から約46億年前)の水や有機物が、今でも残されていると考えられています。地球の水はどこから来たのか、生命を構成する有機はどこでできたのか。そのような疑問を解くのが「はやぶさ2」の目的です。また、最初にできたと考えられる微惑星の衝突・破壊・合体を通して、惑星がどのように生まれたのかを調べることも「はやぶさ2」の目的です。つまり、「はやぶさ2」は、太陽系の誕生と生命誕生の秘密に迫るミッションなのです。

出典 : 目的 | ミッション | JAXA はやぶさ2プロジェクト

 

 私が特に注目しているキーワードとしては、「有機物」と「生命誕生」である。そもそも何故ヒトは誕生したのか、考える場面が多い。何もない場所から何故、ヒトは発生したのか。学生の頃、この疑問に対するヒントとして化学の教授が講義内にて、ある本を紹介した。

「生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像」という本である。

生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像 (講談社現代新書)
 

 

この書籍では、何故生命が誕生したのか?という疑問に対していくつかのトピックに分かれて仮設が論述されている。はやぶさ2のニュースを受けて本書を思い出した次第である。今回は、過去に本書を読んだ感想があるので、本記事で紹介する。

 

 

 

2. 書籍を読んだ感想

 本書を読む前の中学・高校時代、教科書にて人類の誕生について記述している箇所がいくつかあり、何故生命が誕生したのか考えさせられた経験があった。ある理科の資料集には「地球上の生命は海から誕生した」とあり、また化学の資料集には「こうして生命を育む海が誕生した」とあった。それらを見る度に、生命は何もない状態から何らかの突然変異で急に誕生したのでは、と考えたり、神が創造したのではと宗教によく見られることを考えたりもした。時には大学の生物の講義で自然発生説の否定であるレディの実験について話を聞き、生命の誕生はもはや奇跡であるとも思えていた。

 しかし、本書の地球の創生から海洋の出現、プレートテクトニクス、後期重爆撃、有機分子の生成の流れを見て、生命の誕生を科学的に解明すること自体に驚きを感じ、また新鮮であった。

 本書に解説されていた一章の大陸移動説は2002年発行の本の中でも「プレートテクトニクス」として取り上げられており、まさに現在、大陸移動説が一般にもよく理解されていると感じたものであった。また、本書を読んだ上で最も注目した部分は5章の有機分子の起源である。隕石衝突により有機分子が生成された話はこれまでに聞いたことのないものであり、隕石の飛来がひとつのイベントとして認識していた自分にとって考えが改まった瞬間であった。更に、ただの隕石衝突ではなく海に衝突したことによって有機分子が多種多様に生成したことについては実験からデータも得られ、非常に説得力のある説だと感じた。有機物は元から存在する必然的なものとしていままで自然にふるまってきたが、上記の説から長い時を得て出来た歴史のあるものとして捉えられそうである。

 こうした生命誕生までの流れの中で、1つでも欠けると有機物生成まで成り立たなかったのではないかと思った上に、地球の創生から隕石の海洋衝突、プレートテクトニクスはなんともベストなタイミングで起き、よくできたストーリーであると関心した。

 もう一つ気になった部分はホモキラリティである。生物科学上、鏡像異性体というものを聞いたことがあるが、本書では何故生物を構成するアミノ酸はL体、糖はD体に限られているかの明確な解は得られていない。しかし、隕石の海洋衝突で有機分子が生成される過程に私は注目した。何故生物は片方に限られるのか調べたところ、あるサイトで以下の記述があったのを思い出したからである。

”「南極大陸、オーストラリアに落下した45億年以上の6つの隕石を調査すると、隕石に含まれるアミノ酸は左肩であるL体が多かった。宇宙では中性子星や星雲が円偏光を照射することが知られており、これらの宇宙における円偏光が地球におけるアミノ酸の左右を決定した可能性がある。」”

本書で可能性としてあげられていたものとはまた違った考察であるが、隕石の海洋衝突により有機物が生成されたことから、その関係性もあるのではないかと考える。しかし、これも仮設の段階であるので今後の解明や動向に目を向けたいと考えている。

 最後に、生命誕生となった場所について述べる。これまでは生物の起源ともいえる有機分子について考察をしたが、生命の地下発生説も大きなトピックとなっている。私は本書を読む前は生命活動に必須な水はもはや生命の”親”とも言えるべき存在なのではないかと考察し、誕生の場もあるとしたら水というイメージを持っていた。しかし、有機分子を考慮すると海底の地下がふさわしく、水は生命誕生の手助けをしたに過ぎないと感じるようになったと共に地下での厳しい条件の中、有機分子が様々な過程を得て進化していく様子は実に興味深く、生命は作られたものではなく自然の産物といった印象を受けた。

 こうした科学的な分析はこれまで曖昧な部分であったものを徐々に可視化し、新たな発見によって今後何かに応用できる可能性を秘めている。多くの様々な仮説や実験があるからこそ真実を突き止められることを実感し、本書に記載してある仮説の一部が時間の流れとともに定説になる時が来ることを期待する。

 

3. まとめ

 今回は、はやぶさ2のニュースを受けて「生命誕生の秘密」を探る書籍の内容を思い出し、その本の紹介と書籍の感想を紹介した。自身としては情報工学の学位であるため、化学技術の文章に至らない点があればご了承いただきたい。

 書籍では、地球の水や生命発生は隕石の衝突が原因の1つである、という説も述べられており、はやぶさ2が持ち帰った試料の分析でどのような新たな発見があるのか、非常に興味深く見守っている状態である。

 生命誕生の秘密を探る書籍については、様々な本があるかと思うが、今回紹介した書籍は評価も高く、学生時代の国立大の化学教授が推した書籍ということもあるので紹介した次第である。はやぶさ2のミッションと含めて、一緒に過去を共有しましょう。

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