1. はじめに
PanasonicのNP-TH4を購入し、賃貸の蛇口へ分岐水栓を取り付けようと試みたところ、数々のトラブルに直面した。分岐水栓取り付けに関するブログ記事はインターネット上に存在するが、具体的な対処事例を記載されたり固着・水漏れセットでトラブルが生じている記事は少ない。したがって今回は、最終的に取り付けることができたので、課題解決した履歴を残すとともに、取り付け完了に至るまでに生じた費用感を示す。
2. 分岐水栓の選別
自宅の蛇口水道の型番を調査し、以下のサイトにて検索する。もし不明であれば、ナニワ製作所のサポートへ3カットほど水栓の写真をメール等で送付し、適合する分岐水栓を教えてもらうことも可能。
自身の場合は、KVKの「KM556GV1」を台所にて使用していたため、分岐水栓は「CB-SKF6」がヒットした。購入に至っては、中古も買うのも良いがリスクもある。当然、中古は半年から数年間使用されていたものであるため、パッキンの劣化程度が心配な部分が多い。今回の取り付けではパッキン(Oリング)の重要性を強く認識したため、仮に中古を購入するのであれば状態が良さそうな使用年数の低い商品の購入を推奨する。
私はYahooの5のつく日と日曜日ソフトバンク+10%等を駆使し、20%還元されて新品6000円台で購入した。
3. 分岐水栓の取り付け
3.1 事前準備
自身で取り付けを行うにあたり、必要な用具としてはモーターレンチがある。もしなければ、まずはAmazon等で事前に購入しておく。後述するが、もし固着して外れなければ、ショックレスゴムハンマー、掴みどころがゴム製のウォーターポンププライヤーなどの追加備品が必要となるため覚悟しておく。固着してどうしても自分で無理そうであれば水道業者に依頼し、外してもらうことを推奨する。
【必須】
【任意(固着している場合)】
【その他】水栓によってハンドル部分(ネジ)を外す形状が異なるため必要に応じ100均で揃えること
・プラスドライバ
・六角レンチ
・精密ドライバ
3.2 水道元栓を締める
台所の水栓下によく見かける元栓を必ず締める。築年数が古すぎない賃貸であればマイナスドライバ等で締められる上に、良心的な物件であれば手で操作できるようつまみが用意されている場合もある。水とお湯用がある場合はそれぞれ締める。この作業を行わない場合、噴水のように水が容赦なく吹き出るので注意されたい。
3.3 ハンドルの取り外し
ハンドルはKVKの場合、カバーの裏に取り外し用のネジが隠されている場合がある。この場合は、精密ドライバを使用してテコの原理で取り外す。カバーを外したあとは、プラスドライバで反時計回りにネジを緩めた。実はこの時点で結構硬く、何度かネジを舐めてしまったが上から力を入れてじっくり回せばなんとか動いて外すことができた。
3.4 ナットカバーの取り外し
最難関の工程。この工程では水道の元栓を締めていないと大変なことになる。事前に用意していたモーターレンチで反時計回りに回す。
※賃貸の場合、築年数10年代の古くない物件でも過去の入居者が分岐水栓を取り付けていない限り、10年分の水が中で貯まり固着している場合が多く、簡単には外れないので覚悟を。築数年ならなんとかなりそうと感じた。
自身の場合は、数日やってビクともしないため正直諦めた。対処としては、熱湯をナットカバーにかけて膨張させて回してみたり、100均一でハンマーを購入し、モーターレンチを叩いて衝撃を加えたり、クエン酸を水で溶かした液体で固着した部分に吹きかけてみたものの、全く歯が立たなかったため、水道業者を呼んだ。
3.5 水道業者の選別(省略可能)
暮らしのマーケットで良心的な人・業者を探すか、水道業者をネットで調べて来てもらう。選ぶ基準としては、
・広告を出していないこと(=広告を出せば技術料は必然的に高くなる、マグネットの業者は控えるべき)
・ネットのレビューが高いこと(=星4以上は当然)
・地域密着型の業者であること(=全国展開している故に、技術料は高く広告も出している場合が多い)
・水道局指定業者(指定給水装置工事事業者)であること(=指定業者が必ずしも優良業者ではないことに注意すること)
・作業前に見積もりを貰ってから実作業してもらう業者であること(=もとに戻すのに○○円掛かるとか、見積外の作業で追加費用となりトラブル防止とする)
自身は、運良く良心的な業者と出会い出張費込みで9000円で取り外しできた。水道業者の立ち回りを見ていると、まずはナットカバー周囲をヘラを用いながらハンマーでひたすら叩き、モーターレンチやウォーターポンププライヤーでひたすら反時計に回す作業を行っていた。
ハンマーで叩く作業は賃貸の床が振動するほどで、かなり強く叩かないと固着を取るのは厳しく、生半可な力では敵わないことを認識した。また、水道業者の人は体格がよく、自分はヒョロヒョロであるので力の差を見せつけられた形となった。DIYを普段やっていて機材も豊富でかつ力に自身がある人であれば水道業者は不要かもしれないが、一から数千円かけて道具を揃えて、時間と体力をかけて解決するかどうかもわからない状態で不安であれば、素直に水道業者に任せたほうが安心であると感じた。
3.6 分岐水栓の取り付け
この工程でもモーターレンチを使用する。いよいよ事前に準備しておいた分岐水栓を取り付ける。説明書は製品についてくるので読みながら作業する。
取り付けたところ、元栓を緩めるとハンドル操作部(カートリッジ)から盛大に水漏れした。分岐水栓を取り付ける前はカートリッジから水が溢れることはなかったため、分岐水栓自体に問題があると予測した。何度か取り外してみたが歯がたたないのでナニワ製作所にメールで問い合わせを行った。
3.7 水漏れ原因の調査(省略可能)
ナニワ製作所にメールしたところ、営業日であれば5-10分でメールの返信をいただき、その早さにビビった。以下は噛み砕いたやり取り。
ナニワ製作所「分岐水栓側のパッキン(Oリング)切れてない?切れてたら住所くれたら送るで」
ワイ「こんな感じで押し出したら切れてるンゴ...(新品だったし初期不良?)」
ナニワ製作所「強く押し出したらパッキン切れることあるで。今日パッキン(Oリング)郵送したから待っとってや」
ワイ「はえー」
~数日後~
確かに、パッキンが切れている部分から水漏れしたことにより、カートリッジの外側から水が溢れてナットカバー内に溜まっていき、最終的にハンドル部から溢れたという考えでいくと納得する。今回は分岐水栓を新品で購入して、煩雑な扱いをしていなかったため、もともとパッキンが脆い状態だったか、どこで捻れて切れたのかもしれない。
今回このパッキンが非常に重要な役割を果たしているということが分かったため、先述したとおり数年経過した中古だと、この部分が劣化しているリスクがありそうである。ナニワ製作所のレスは早く、的確で無償でパッキンも予備含めて送付してもらったため、サポートは安心できた。
3.8 総評・想定すべき予算
今回は固着と水漏れのトラブルに遭遇した。予算としては、
・分岐水栓自体の費用 1万円
・モーターレンチ等の備品費用 1500円
・追加備品または水道業者作業コンティンジェンシー(予備)費用 15000円
計 3万円
を見込んでおけば安心と考える。自身はこのうち、全体(分岐水栓台+水道業者費+モーターレンチ代+諸費用100均)で17570円掛けて最終的に取り付け完了した。家電量販店では約5000円で設置してもらえるが、もちろん分岐水栓代は別途費用なわけで、それを考えるとほぼ同額かつモーターレンチは今後取り外す際にも使用できることから財産にもなり、結果的に無駄な要素は無かったと振り返る。
強いて言えばナットカバーは自分で外したかったが、賃貸である以上水栓に傷がついたり、新たに数千円掛けて備品を購入して結果ダメだった、という最悪のシナリオも想定できたためコンテ費を使用した。
子供の頃からの夢だった食洗機をついに導入した。np-th4。サンディベージュ。
— うまうま (@umauma2010) September 15, 2021
意外と洗う音は聞こえる pic.twitter.com/As1y6RmkQA
4. まとめ
今回は、知識ゼロの状態から実際に分岐水栓を取り付ける過程を示し、いくつかのトラブルに直面した際の対応履歴について画像つきで紹介した。右往左往したものの、水道業者やナニワ製作所各方面に良くしていただき、感謝申し上げる。
一度経験してしまえば、全体の作業がWBSとして見えてくるため今後の作業に役立てることができそうであると感じた。食洗機を購入しようとしている方、分岐水栓の取り付けにチャレンジしようとしている方、固着・水漏れで困っている方向けに情報提供できれば幸いである。