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KAWAI MP11 (ステージピアノ)を導入

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1. はじめに

私は、3歳から幼稚園卒園までKAWAIのスタンダードな電子ピアノを使用しており、それ以降は自宅でKAWAIのアップライトピアノを弾きながら、時にはコンクールやグレード試験でグランドピアノに触っていた。転居に伴いピアノを続けられなくなった後、ピアノの無い生活を日々送っていた。

さすがに趣味の一環であるピアノを全く触らないことも望ましくないため、ピアノ購入に踏み切り、今回はKAWAIのステージピアノと位置付けられている「MP11」を導入した。

本記事では、MP11を購入した背景と目的を述べ、他機種やグランドピアノ(Shigeru Kawai)との比較を交えながらMP11のレビューを行う。

 

2. MP11導入の背景と目的

現在は一戸建てに住んでいないため、ピアノを配置する場所と音自体に配慮する必要がある。従って、持ち運び可能な電子ピアノの導入が望まれた。組み立て式の電子ピアノは、一度組み立ててしまうと移動が大変な上に、ホコリ掃除などの保守性に課題があったため、軽量のポータブルタイプの電子ピアノを視野に入れた。

また、自身はクラシック系のピアノ演奏を主とするため、「家庭練習向け」「本物のピアノに近い鍵盤のタッチ」「鍵盤数88」を重要選定項目として設定した。なお、自動演奏機能や多音色などの付加価値的要素は導入にあたって無視したが、「グランドピアノに近い音色」はある程度欲しいと思っていたため、サブ選定項目として設けた。

これらをもとに導入検討に伴い、まずは低価格からハイエンドモデルまでの電子ピアノの調査を行い、条件に概ね合致したピアノの試弾を行っていった。

・低価格タイプの検討

はじめにコストパフォーマンスが高めな低価格の電子ピアノから調査を行ったところ、CASIO Privia PX-160とYAMAHA P-115が候補として挙がった。

秋葉のヨドバシで試弾させていただいたところ、PX-160とP-115の鍵盤のタッチはどちらも優れており、練習用として使いこなせそうな印象を持った。PX-160は鍵盤が「ポヨンポヨン」しており押した感覚が柔らかく弾力性があるため、しっかりと弾いている感覚であった。グランドピアノの打鍵感とは少し大袈裟な感じはするが、使いこなせばどんなピアノでも適応できそうな感じであった。また、印象としては全体的に鍵盤の見た目がシュッとしておりグランドピアノの前に座って演奏するような気持ちとなった。

一方、P-115は鍵盤が軽めで弾きやすいが上位グレード(P-255)にも気になり始めたため、この価格帯ではPX-160が候補となった。

カシオ 電子ピアノ プリヴィア PX-160BK ソリッドブラック

カシオ 電子ピアノ プリヴィア PX-160BK ソリッドブラック

 

 

 ・中価格ピアノからステージピアノの発掘

 5万以降からの価格帯を見ていくと、YAMAHA P-255やKAWAI ES8、ローランドのピアノが名乗りを上げてくる。ここからは、低価格帯で好評だったPX-160を基準として、タッチ感や機能を見ていくが、どれもドングリの背比べ状態で結局、電子ピアノとは何が良いのか分からなくなってしまった。

そこで、重要な項目と考えている「鍵盤のタッチ」についてもう一度調査することにした。すると、「木製鍵盤」タイプの電子ピアノはタッチ感が優れているという情報を耳にした。たしかに、これまで触ってきた電子ピアノは全てプラスチック製のものが多かったと共に、グランドピアノに近いタッチ感と質感を求めるならば鍵盤は木製にした方が良いということが分かったので、求める選定項目として新たに「木製鍵盤」を追加した。

上記の内容を基に、より調査をすすめていくと電子ピアノの中でも「ステージピアノ」という種類があることが分かった。

ステージピアノはどちらかといえば、家庭向けよりステージ上や音楽制作向けの電子ピアノと位置付けられている。しかし、一般の据置きタイプより可搬性に優れており、音自体や鍵盤の質感もよく、自宅練習用としても使用できる万能な種類でもある。

また、ステージ上での演奏を見据えているため、背面に種類豊富な音声出力端子が用意されている。従って、ピアノの音色は本体のスピーカではなく音声端子などを介して音を出力しなければならない。しかし、自身はオーディオシステムを構成していることもあり、XLR出力端子からヘッドホンアンプ(LUXMAN P-700u)へ接続すればピアノ音の高音質化が期待できる。個人的には、この辺りもステージピアノの魅力の1つと考えた。

ステージピアノは、自身が重要な項目として挙げていた条件にも近いものでもあるため、この中から木製鍵盤で評価の高い製品を選定することにした。

YAMAHA CP4 STAGE/KAWAI MP11/ROLAND RD-2000の選定

ステージピアノの代表的な製品は平均で約20万ほどであることが分かったため、今回は評価の高い3機種をピックアップしてステージピアノの選定を行うことにした。

どの製品も鍵盤のタッチ感や機能が優れており、このレベルであると個人による好みであるということを前提に、自身の印象をそれぞれ述べる。

YAMAHA CP4 STAGE

3機種の中でも低価格で軽量。タッチ感もよく、ピアノの音色もヤマハグランドピアノのCFXを搭載している、優等生で総合力のあるステージピアノ。そろそろ後継の新機種が出るのではないかと期待されている。

YAMAHA ステージピアノ CP4 STAGE

YAMAHA ステージピアノ CP4 STAGE

 

 

- KAWAI MP11

3機種の中で鍵盤構造に大きな工夫が見られ、タッチ感は自然で最強。特に、鍵盤を指で押す際のクリック感(レットオフフィール)が一番優れていると考える。鍵盤は重めだが強弱がつけやすくクラシックにも適用可能と思われる。音色はKAWAIグランドピアノの「Shigeru Kawai」から。重さが30kg台だが持ち運べるギリギリの許容範囲内。日本よりもヨーロッパなど海外での評価が高い。2018年2月、後継モデルとなるMP11SEが発表され、正常進化したが機能に大幅な差異はないように見受けられる。

 

ROLAND RD-2000

比較的新しい機種でとにかく多音色、多機能でステージ上や音楽制作に適していると思われる。タッチ感もCP4 STAGEと同様に良好。個人練習用として運用する場合は、機能内容をよく理解し宝の持ち腐れとならないようにする必要がある。ローランドはあまり理解していない部分も多く個人的に敷居は高い。

 

3. MP11試弾とグランドピアノとの比較

この時点でお察しかと思われるが、私はKAWAIの元生徒であったこともあり、導入ピアノはほぼMP11に傾いていた。一応、最後までYAMAHA CP4 STAGEと悩んでいたため、カワイの店舗にてMP11の試弾をしに向かった。同時に、ここでKAWAIグランドピアノである「Shigeru Kawai」の試弾も行い、MP11とのタッチの差を確認しようと考えた。

早速、KAWAI表参道に行くと営業の方が丁寧に対応していただいた。はじめに、MP11の近くにMP7も展示されていたため、試弾したところMP7は鍵盤を押すと「ストン」と落ちる感触であったがMP11はしっかりと弾力性がありながら「コトン」と落ちる感触だった。長い時間ハノンやベートーヴェンピアノ曲を弾かせていただきながら、製品についての話を聞いていると、やはり海外で定評があり多くの様々な動画でも取り扱われているようだった。

長い時間MP11を弾いている感覚としては、やや鍵盤が重い感じはあるが特に指へのストレスもなく楽しみながら演奏曲に浸れるものであった。

次に、Shigeru Kawaiの試弾を行った。グランドピアノが10台以上展示されている中で、私はSK-6とSK-7を弾いた。それぞれ400-660万ほどの価格帯である。

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グランドピアノとMP11の違いは3点ある。鍵盤の重さ、レットオフフィールの自然さ、パワーであった。

・鍵盤の重さについて

グランドピアノは調律次第で鍵盤の重さを変えることは可能だが、MP11の鍵盤は重めに設定されている印象を受ける。従ってMP11は音の強弱のメリハリをつけることが容易だが、演奏者の表現力が求められる機種であると考える。個人的には鍵盤は軽いよりも重いほうが有利であると見込んでいる。なぜならば、軽い鍵盤で慣れているといざ重い鍵盤でコンクールの本番を迎えるとなった際に、力不足さが出てしまう恐れがあるからである。実際にこれは幼少期に体験していることである。

・レットオフフィールの自然さについて

レットオフフィール(鍵盤のクリック感)については、グランドピアノの鍵盤は素直に自然に鍵盤が落ちていたが、MP11はそれより少し硬めの感触であった。しかし、タッチ感を重視している自身にとってはこれでも満足な感触である。(余談だが、MP11の鍵盤がよりグランドピアノに近付いた機種が据置き型の「CA98」であると考えている。)

 ・パワーについて

グランドピアノはやはりパワーがあり、電子ピアノでは表現できない音の幅があるように感じた。特に、鍵盤を強く押した際の迫力はグランドピアノならではであり、逆に実力差が完全に出てしまうものであった。この辺りは、実際のレッスン等で補えられるほかに、自身のオーディオシステムで音の増幅加減を調整しようと考えた。

 

以上の違いを見出しながらも、MP11は「確かなピアノへの再現度」と「弾く楽しさ」を持ち合わせている機種であるという結論に至りながら、最終的には決算の時期かつMP11SEも出たばかりで価格の面でも親切に対応していただき、このたび実店舗にて契約に至った。

 

4. MP11レビュー

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実際にMP11が自宅に届き、設置作業に入った。MP11は本体重量が30kg代あり、1人で机に載っける作業は本当に苦労した。重いぶん、弾く際に本体が大きく揺れることはなく安定性があるが、ピアノの位置を変更したい場合は2人体制で運ぶことをおすすめする。自身としても、1人での設置作業はもう行いたくない状況である。

付属品は、ピアノ本体のほかに楽譜台とペダルがある。どちらもしっかりとしたつくりであり、重さもある。※ブログトップに掲載している赤色の鍵盤カバーは別売り。

設置が完了した後は、ハノンを一通り弾いてみた。なお、ピアノのヘッドホン端子にHD650をアンバランス接続し、音を出力している。また、電源ケーブルLUXMANJPA-10000を使用している。音自体は非常に綺麗であり、篭った感覚は無かった。また、各鍵盤もタッチ感は前評判どおりで実際のピアノに近い演奏を行うことが出来た。

いくつか弾いていると、試弾段階ではあまり触れていない部分であった機能があることに気付いた。MP11は、ピアノの残響等の調整を細かに設定できる。以下に自身の設定例を示す。

・リバーブ(REVERB)の設定

オンにし、タイプをConcert Hall(コンサートホールの残響)に、PreDelay(残響がはじまる時間)を100.8msに、Time(残響の長さ)を1990msに、Depth(残響の深さ)を10に設定した。

・PIANOセクションの設定

PIANOセションでは、ConcertGrandモードに設定した。

Damper Resonance(ダンパーレゾナンスの音量)を5に、Stereo Width(ステレオ音の拡がり具合)を127に、Brilliance(音の明るさ)を0に、Touch(タッチ)をNormal(アコースティックピアノと同程度のタッチ)に設定した。

 

このように、鍵盤自体は重めでも音を出しやすく設定することも可能であるため自分好みのピアノをデジタル的に設定することができる。

 

4. まとめ

今回はKAWAI MP11導入に至るまでの背景を述べ、実際にMP11を弾いた際の印象について、グランドピアノの違いについて、導入後の設定例を示した。MP11やステージピアノに興味がある方向けに、情報共有が行えれば幸いである。電子ピアノは調律や乾燥剤などのメンテナンス費用が不要であることも利点である。腕と予算を検討しながら、様々な電子ピアノに積極的に触れることが必要であると考える。

今回の導入にあたって特に感じたことは、実店舗で製品を購入することの重要さである。特に、電子ピアノはサイズが大きいものとなるため配送による品質確保も求められる。今回は実店舗で購入したため丁寧に配送を行っていただき安心して導入が行えたが、ネット購入による配送中の故障もたびたび起こるようである。自身のオーディオ機器購入に際しても、今後は参考にしていく予定である。

自宅の構成について、今後はMP11とヘッドホンアンプを接続し以下のように構成していく。

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