おうまさん

SEのふりをしながら趣味をやる。

高専専攻科在学中にIT業界の大企業就職活動を行った体験談

1. はじめに

 私は大手情報処理・サービス業に属する20代後半のSEである。2016年に新卒で入社し、今日に至るまで様々なIT資格取得やそれなりに年収も得られ、生活基盤が確立してきた。自身は高専の情報処理系学科に入学後、専攻科への道を歩み、20代のこれまでを振り返る中で高専専攻科時代における大企業への自由応募での就職活動は思うようにいかない場面が多かったという反省の意味を込め、本記事を執筆する。対象の読者像は、情報処理に興味がある方で高専専攻科からの就職で安定収入を得たい方となる。

 

2.自身の高専時代と専攻科からの就職について

 高専準学士過程からの就職は考えておらず、当時は某巨大掲示板で「準学士過程からの就職は給料安く工場で品質関連の仕事しか回されない」などの投稿を真に受けながら、大学同等の学歴は重要であると考えていたこともあり、専攻科進学後の就職は前提としていた。なお、高専卒業後に大学編入ではなく専攻科に進学した理由は「友達が出来る気がしなかった」からである。大学で友達ができないと過去問が入手できず単位に影響するリスクを回避する狙いがあった。

 自身は物事を論理的ではなく、漠然と感覚で捉える性格のため理数系の科目は基本的に暗記していた。したがって、準学士過程においては応用的な問題が出題される定期試験の数学、物理、化学は赤点を取ることもありつつ、教科書の例題を必死に解きながら暗記し、試験で例題から派生された問題を確実に正解することによって点数を稼いでいた。それでいながら、学科内で10位以内をキープしつつ、専攻科進学後は心を入れ替え、赤点は一度もなく引き続き10位以内をキープし、JABEE認定され就職への準備を行っていった。学科で10位以内であると大学院への推薦編入も視野に入ることとなるが、自身は研究に身を投じるより、早く金を得たいという気持ちが強かったため、就職の方向となった。

 準学士課程からの就職について自身が社会人を経験しながら感じることは、現在属している会社にも高卒で頭の切れる課長クラスの上司がいるが、昇進スピードは大卒・院卒に劣り、部長の座をライバルに譲らざるをえないという光景が見られた。頭の切れる上司は行動力もあり自身もリスペクトをしているが、日系大手企業においては「学歴」という要素が立ちふさがるものとなる。更に、自身の親も高卒であることから昇進スピードについて度々言及されてきており、「大卒未満は課長まで」という人事制度上制限のある企業も存在するようであった。外資系や日系でもベンチャーであれば実力主義でチャンスがあると思われるが、常に上がつっかえているという状況はどんな場面であれ遭遇するところでもあり、そういったリスクを回避するためにも自身は「学士」以上からの就職を推奨する。

 起業などの常識に囚われない生き方をしたい方は、上記の限りではないがそもそも本記事の対象読者から外れているのでご容赦いただきたい。

 

3. 専攻科からの就活

 結論から言えば自身は推薦応募2社、自由応募8社の計10社の大手企業へ応募し、最終的に推薦で現在の上場会社に勤務している。現在の会社は個人情報の関係上、明らかにしないこととする。大手企業に絞った狙いとしては、高待遇・高所得を目指したからである。結果的に現在の職場に就職できて良かったものの、就職活動自体の取り組みに関しては失敗の評価をしている。なお補足の情報として2016卒は、ちょうど就職スケジュールの変更があり経団連に加盟している企業にて、採用情報や説明会情報の解禁が後ろ倒されていたが、遵守する企業はごく一部で、早く動いた者勝ちな風潮があった。

 自身が行った就活実績を表として以下に示す。

日付
就活内容
備考
2015/3/1
事実上の就活解禁
長期インターンで誘いのあった企業はほぼ内定状態
2015/3/11-3/26
企業研究、応募予定企業のセミナ予約
マイナビ東京EXPO、地元の合同企業説明会など
2015/3/31-4/4
会社説明会に出向く
2015/4/4
各種エントリーシート執筆の下書き
専攻科に来ている大企業の求人票を見ると推薦はなく、自由応募が多数
2015/4/26-4/29
JRAシステムサービス面接、その他企業の会社説明会
ニコン、JR東
2015/5/8-5/24
ES提出、テストセンター受験
2015/6/2-6/14
ES提出、会社説明会
2015/7/2-7/8
面接、グループ討議
東北電力富士通エフサス
2015/7/10-15
SPI、最終面接(推薦)
2015/8/5-8/7
2次面接、3次面接
2015/8/8
2次面接
富士通エフサス
2015/8/20-25
推薦の会社説明会、最終面接
現在勤めている企業

 

4. 各企業を応募しての所感

 推薦応募した現在勤めている企業以外は長期インターンでお世話になった企業を除き、すべてお祈りとなった。結局応募した企業は、「JRAシステムサービス」「中部電力」「Canon」「ニコン」「NTTコムウェア」「東北電力」「NTTデータ」「富士通エフサス」「長期インターンで世話になった企業」「現在勤めている推薦応募企業」の計10社である。書類選考を通過し面接に進んだのはそのうちの4つのみである。

 以下、気になった各企業に対する就活上での所感を述べる。

NTT東会社説明会の段階で学歴ごとにグループを分けており、強い学閥を意識したため退避した。JR東の総合職は会社説明会でエリート向けという印象を抱いたため回避した。

DNPCanon会社説明会で組み込み系に対する技術への情熱を感じ好印象だった。DNPは推薦応募があったが、同学科内の他学生が先に応募し締め切っていたため回避した。エンベデッドスペシャリストとしての道もあったのかもしれない。Canonは書類選考の段階でお祈りとなった。カメラが好きなので、カメラに対する思いを交えながら書いたのが逆に良くなかったと振り返る。

中部電力会社説明会は、複数人の学生が社員を囲んで話を聞くというコーナーがあり、情報部門の社員は親身になって話を聞いてくれた一方で、電気部門では東大・理科大の学生と一緒になり、社員から「...であなたは高専...?」という学閥の目線もあった。戦うフィールドが違うという学歴を感じながらも、ESを提出したが面接に進むことなく書類選考の段階でお祈りとなった。

JRAシステムサービスは、なぜこの会社に興味を持ったか、研究タイトルと研究内容、趣味特技、あなたにとって就職するとは、自己PR、志望動機、JRA-VAN、専攻科の学科名の説明を面接や記入シート等で求められた。志望動機については一部、首を傾げていた部分があったため、練り方が良くなかったものと反省した。資格取得について突っ込まれたが、当時は何も持っておらず運転免許のみという回答も微妙と思われた。面接でサイレントお祈り。

ニコンは、会社説明会に行ったがあまり覚えておらずとりあえずESのみ出したものの専門試験が選考過程にあり、途中で辞退したように記憶している。

NTTコムウェアは適性検査TALが初受験で訳わからん解答をして書類選考でお祈りとなった。なお、後続のNTTデータでもTALが採用されており、このおかげで練習できた良い例でもあった。

富士通エフサスは書類選考とグループ討議に通過し、推薦でうけるかもしれない旨を人事に伝えながらも、自由応募で2次面接に挑んだ。シンクライアント関連の仕事をしてみたいと行ったが、あまり面接官にはピンときておらずお祈りとなった。

東北電力は書類選考、リクルート面談、1次面接、2次面接を突破したものの、電気分野の経験がないという形で3次面接でお祈りとなった。どれも私の話を丁寧に聞いてもらい、好印象だった。原発についてどう思うか、専攻科の学科名の説明、ESで記入した内容について深掘りがあった。電気分野に精通していたら道はあったかもしれない。

NTTデータは、当初自由応募でエントリーしていたが思うように就活が上手くいかない焦りから、推薦応募のカードを切ることとした。推薦応募にすると、途中の面接が省略され、適性検査合格後に即、最終面接となる。しかし、NTTデータは推薦であってもお祈りされることで当時は定評があった。NTTコムウェアで練習台となった2度目のTALとSPIを突破し、最終面接へ進んだものの、お祈りとなった。

いま勤めている企業は、8月後半まで何も内定がない状態だったので最初から推薦応募し、なんとか拾ってもらえた企業である。時期が時期なので、どうして今この時期に推薦か?という質問にもなったが、いままで受けた企業や研究に力を入れていた等の説明で納得してもらえた。社内でもNTTデータの最終面接に落ち、こちらに内定を決めた者もいる。稀に自身の転職先としてNTTデータが過ることもあるが、「結局どのSIerも一緒だろう」という気持ちを胸に思いとどまっている。

 

5. 就活・面接の反省点

 就活の開始が遅く、企業研究をもっと早くに行うべきだった。また、応募したい企業を早くから選定し、企業研究の質より量を重視したほうが良かった。

 全体的に見ると、高専生または専攻科生を採用している企業は、専攻科に対しての理解がある一方で、「専攻科とはなにか」「どういう学科なのか」を面接で追求する企業も見受けられた。主に首都圏の学歴重視の企業においては、そもそも土俵に立たせてもらえない場面も見受けられた。

 面接の反省点においては、部屋に入る際に「面接官は事前にESを見ているから名前を名乗るのは不要だろう」と自己紹介を省略したり、「御社が第一志望で、他に受けているところはありません」とガチ恋を表明してみたりした企業があったが、完全に逆効果であった。面接官は、基本的なことができているかという観点で合否を決めている観点もあるため、基本動作は徹底すべきと感じた。

 

6. まとめ

 今回は、自身が高専専攻科時代に大手企業をメインに就職活動した際の過程を述べ、各応募企業の状況を振り返った。振り返ってみると、やはり自身の就活は失敗例で理系の推薦で首の皮一枚繋がった形となった。

 専攻科では準学士課程の学生と比較し、推薦応募の比率が低くなり大手企業においては自由応募で参加せざるをえない可能性が当時高くなっていた。また、地方の高専だったからということもあるが、学歴差を感じつつも学割で首都圏企業に足を運び続けるという厳しい要因も続いてしまった。しかしその中で、自由応募で大手に挑戦するには、早めの企業研究と多くのES提出、面接によりまずは内定を確保することが近道ではないかと認識している。それでもやはり厳しい現実があれば、推薦応募に頼るのも致し方ないと感じている。

 自身の実力とやりたい事を常に想定しながら、高い目標を掲げた計画的な就活が大事であることをまとめとし、高専専攻科生で就職を考えている方等に参考となれば幸いである。

 

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