1. はじめに
私は情報処理・サービス業に属する官公庁を対象としたシステムを手掛けるSEである。会社の指示により公文書管理検定が必要となり学習を行い、最終的に合格したので受験記を本記事にて記載する。なお、学習期間は1ヶ月半であり、1日約30分~1時間程度の学習時間を確保して合格を果たした。2022年時点では、改訂・新テキスト対応試験と現行テキスト対応試験の2種類があり、2023年度からは現行テキスト対応試験が廃止され、新テキスト対応のみとなる。私は古い刊行物であるテキストをもとに学習するよりかは、新しい方式の試験で合格した方が価値があると考え、改訂・新テキスト対応試験を受験した。
2度受験し、1度目は68点で不合格、2度目の受験で80点を取得し合格したため、まぐれ合格ではなく不合格を経験してからの対策という点において本試験の学習方針も含め述べる。
2. 私の公文書理解内容レベル(受験前)
・森友学園問題なんてどうでもいいし興味がない
・官公庁を対象としたシステムを手掛けているため、公務員の文書事務をおおよそ理解しているが、文系ではないので法律に関してはどうでもいいし興味がない
・原則、図書館にも行かないし歴史資料(アーカイブス)を見たいと思ったことは一度もない
要は、会社の指示で受けただけで文書管理に対し情熱がない者である。それより連続で不合格になっている高度情報処理試験をどうにかしたい。
3. 受験までの学習方法
1章で触れた通り、10月半ばから改訂版の新テキストを購入し、12月上旬の試験本番まで空き時間に読んだ。現行テキスト対応試験においては、「公文書管理検定テキスト(実務編)3分冊1セット」の3冊目に過去問が掲載され、傾向をつかむことができる。しかし、今回自身が受験した新テキスト版にはそのような問題例は本の中に掲載がなく、どのような問題が出題されるか全くつかめない状況であった。
従って私は、国立国会図書館に出向いて新テキスト版ではない「公文書管理検定テキスト(実務編)3分冊1セット」と「公文書管理検定テキスト(マネジメント編)3分冊1セット」を借覧し、3冊目のみに掲載されている過去問一式を国会図書館の複写サービスを利用してコピーしたものを持ち帰ることとした。これにより、CBT試験で実施される新度版の試験問題のイメージを予測し、掴む狙いがあった。
新テキスト本を全て読んだ上で上記で得た過去問を解くこととした。実務編とマネジメント編の過去問を見た限り、マネジメント編の過去問は新テキスト版の本に掲載されていない内容が多く学習は不要であると判断した。しかし、実務編の過去問には新テキスト版の内容と合致しているワードがいくつか見受けられたため、実務編の過去問側を学習することとした。特に、主要となるISO15489の内容や公文書管理検定対策Eラーニングのサンプル動画で扱われている「メタデータ」「記録の定義」については新テキスト版においても取り扱われていたため重点的に学習することとした。
その他について試験対策を講じようとしたが、新試験に関して情報が全く無いため新テキストの内容を要所要所で読みながら、過去問で時間を潰す日々を送る形となった。
4. 不合格
実際の試験では、○✕問題や単語のプルダウン選択式穴埋め問題が50問出題され、法の内容や言葉の定義などの問題が出題された。新テキスト版で出題された問題のうち、「公文書管理検定テキスト(実務編)3分冊1セット」の過去問は2-3問のみしか見慣れた問題が無かった。ここでようやく学習方針が明らかとなり、結果的に68点で不合格となった。1問2点であるため、35問正解すれば70点で合格となる。私は34問正解で、あと1問正解すれば合格であった。合格できなかった理由については次章に示す。
余談であるが、私の資格試験受験歴は悲惨なもので、あと1問あれば合格の可能性があったもの、合格できたものばかりである。全て100時間以上勉強してこの有様であり、今回の公文書管理検定も50時間程度は本と睨めっこをしていた訳で、完全に運から見放されている感が否めない。なお自身は2022年に現物株で650万の損失をしていることもアピールポイントである。
5. 合格
4章で不合格となった日に再度試験申し込みを行い、3日後にCBT受験を行うこととした。なぜ不合格となったか理由も併せて受験後の所感を以下に示す。
・本に示されている言葉の定義を読んだだけで解釈を曖昧にしていた
・要所要所で取り扱われている制度の内容や、誰が何をどのようにするのかを曖昧にして足元をすくわれた
・自身が理系や仕事柄である傾向か、電子的な話題に特化しすぎて概念や法の解釈を軽視していた
・○✕問題が運転免許試験問題のような揚げ足を取る問題がいくつか見られ、定義が曖昧だと混乱する
・「公文書管理検定テキスト(実務編)3分冊1セット」の3冊目過去問はあってもなくてもいいが、新テキスト版試験に向けて出題内容のイメージはできる(その通りは出ない)
・新テキストの下線部は試験でそんなに問われない
・難しく考え過ぎると逆に破滅する
・運が悪い
これらの反省を踏まえ、3日間のうちに不合格で出題された問題を振り返りながら、どこが間違っていたかや曖昧な部分「誰が何をどのようにするか」「言葉の定義と枠組み」を確実に潰していった。これにより、最終的には2回目の受験で80点を取得し合格することが出来た。2回目の試験では1回目で登場した問題のほかもいくつか出題されたが、ランダムで出題される関係上、初見の問題も見られた。おそらく、私は2回目の問題が1回目で出題されていたら合格していたと思われる(1回目はそれくらい自分がおさえていない、法や原則に関するシビアな問題が多かった)。
6. まとめ
今回は公文書管理検定の新テキスト版試験において、合格するまでの学習過程と方針について述べた。結局のところ、本の内容を感覚ではなく構造で理解し、運が良ければ合格することが分かった。試験の出題内容に不安があれば、実務編の過去問を参照してイメージを掴むのも良いが、あくまで新テキストの単語や誰が何をどのようにするか等の内容をしっかりおさえることが望ましい。なお、新テキスト版には誤植がいくつかあり、正誤表が公式よりアナウンスされているため、チェックは必須である。
https://www.shuppanbunka.com/books/9784883386970/pdf/errata_list_0921.pdf
CBT試験についても人によって向き不向きがあると思われる。私はCBT試験は就活のSPI以来で、普段は情報処理国家試験を主としていることから、どちらかというとペーパーテストの方が馴染みがあり、CBTに不慣れな部分もあった。簡単そうに見えて、感覚で臨むと運が悪ければ不合格となる試験だが、複数回受験したことにより、法や制度の理解が深まったと言える。
今後、公文書管理検定を受験する方に向けて学習方針等、参考となれば幸いである。