1. はじめに
2017年秋には様々なメーカより新作のヘッドホンが発表された。11/3(金)と11/4(土)に実施された秋のヘッドホン祭にてこれら新作が展示され、実際に試聴が行えたので今回は「試聴したハイエンドヘッドホン」と、「聴いた際の印象」を述べる。
なお、静かな会場や上質な電源環境で試聴したわけではないため、多少の認識の違いや個人の捉え方についてご了承いただきたい。
※ヘッドホンの撮影はどのメーカからも快く承諾していただき、とても親切にしていただいた。
2. 試聴ヘッドホン
2017年秋のヘッドホン祭で試聴したヘッドホンは8つある。
・SONOROUS VIII, D8000 (final)
・Edition15 (ULTRASONE)
・ATH-ADX5000 (オーディオテクニカ)
・HD660S (SENNHEISER)
3. LCD-4, LCD-MX4 (AUDEZE)
実は今回が初試聴であり、LCD-4は以前からの購入対象としていた。今回、プロユースヘッドホンのLCD-MX4を含め両方試聴したが、両者ともまず音の弾け具合に驚いた。特に電子音については音が伸び縮み、最終的には発散するかのごとく耳を覆った。聴きやすく、特に癖のない印象をもったのがLCD-MX4、個性を感じたのはLCD-4であった。
この価格帯(35-45万)になってくると、自宅のオーディオシステムよりも1ランク上がった音が楽しめそうだなと思った。まだあまりAUDEZEの製品に馴染めていないため、今後も何回か試聴を繰り返して導入を検討していきたいと思っている。
個人的に導入したいのは、個性的な繊細さ、ダイナミックさを演出してくれたLCD-4である。重さは普段自宅で鍛えられているからか、両者ともあまり重量を感じなかった。
4. SONOROUS VIII, D8000 (final)
FinalのブースではSONOROUS VIIIが展示されていた。高域がキツく感じることはなく、ドラムなどの低音は高品質で実際に演奏されているような音が鳴っていた。軽い音と重い音がきちんと区分けされていて、なおかつボーカルは前に出てきたり、時にはバックの音楽の後ろに入ったりと動きが感じられたのが印象的だった。
次に、上の画像に示したD8000を試聴した。D8000は整理券を貰わないと試聴できなかったが、運良く入手できた。別室の試聴部屋へと案内があり、とても静かな環境で試聴させていただいた。ラブライブの「Snow halation」をはじめ、様々なジャンルの音源を全てハイレゾで試聴した。
D8000の第一印象としては、音がクリアで基礎がしっかりとした重いサウンドであった。音の空間表現も多彩で低域から高域までしっかり網羅されていた。ザ・自然という感じでSR-009とじっくり比較してみたい。自宅で改めてSR-009を聞いたところ定位は似たような感じを受けた。低音はSR-009の方が力強く出ている印象であったが、D8000もアンプや電源による味付けで更なる力を引き出せるかもしれない。
ちなみに、自宅に帰ってからTH900mk2でSnow halationを聞いたらTH900側が淡々と鳴っているような印象を受けてしまった。D8000の「重いサウンド」はここで気付くことができた。平面磁界型の特性を活かしつつ、ダイナミックさも演出した良いとこ取りの機器であるということを認識した。
5. Edition15 (ULTRASONE)
ヘッドホン祭の会場についたら、なぜか発表されていたヘッドホン。取り急ぎクラシック、ロック、女性ボーカルを試聴した。印象としては低音がよく鳴っており、ボーカルはバックで流れている低域と高域の狭間にいるような感覚だった。全体的にバランスが良く、様々な音楽ジャンルに適していると思われる。実に開放型ダイナミックらしい音が聞けたと感じる。そしてなにより、Chord Electronics DAVEを経由してEdition15を聞けたことを光栄に思う。
価格は36万。
6. ATH-ADX5000 (オーディオテクニカ)
個人的に今回目玉だったヘッドホン。ヘッドホンアンプはLUXMANのP-750u、バランス接続で海外の音楽を何曲か試聴した。まず、ヘッドホンアンプのボリュームは10時と11時の間が丁度良かった。これは、自宅のP-700uでT1 2nd Generationを再生する際のボリューム位置と同等である。
外観について補足すると、バランスケーブルの太さがかなり太い。自宅のTH900mk2よりも一回り太い感じで、直径7-8mmほどあるのではないかと思うほどであった。また、ヘッドホンの重さは軽い方だと見受けられる。
音については、開放型らしい優しめの音で包み込んでくれた。低音が強いこともなく高音もキツくなく全体的に統制がとれている感じがあった。音場感を提供しつつも解像感もあるフラット志向?ただメリハリもあり、ボーカルも丁度よい位置にいる。言葉で表すのは中々難しい。
7. HD660S (SENNHEISER)
HD660Sを視聴するにあたり、ヘッドホン祭に行く前に自宅で入念にHD650を聞いてから出掛けた。実際に会場でHD660Sを聞いてみるとHD650のような音の厚みというよりかは全体がクリアになった感じで、低音もより強く出ている感じがした。ちなみに使用されていたヘッドホンアンプはゼンハイザーのHDVD800で、アンバランス接続。
本当にHD650ディスコンにしちゃうの?と思うほど違いが感じられた製品だった。個人的にはこのままHD650をリファレンス機として運用していく予定だが、新たにヘッドホンを導入する方にとってはHD650と同様にコストパフォーマンスに優れたオススメしやすいものとなるだろう。
8. SR-007A (STAX)
SR-007AにSRM-T8000を接続して聞いたことがなかったので寄ってみた。自宅のSR-009と比較してみると、やはり007Aはクラシックに強いなと思った。ボワーンと鳴って響いている感じでダイナミック型とはまた違う味を出してくれる。
春のヘッドホン祭ではDACがLUXMANのDA-200 or DA-250だった気がするが、秋のヘッドホン祭ではDA-06に変わっていた。
なお今回はSTAXからアンケートはなく、帰る際は技術開発部長さんに会釈をしてきた。
9. まとめ
今回の秋のヘッドホン祭は、非常に充実しており自身としてもうまくブースを回れたと思っている。おかげさまで、今後導入するヘッドホンの選択肢が増えてしまったが、試聴を繰り返しつつも様々なレビューを見ながら対応していく予定である。
そういえばGRADOやFOCALのフラッグシップ聞いてなかったなあとか考えているが、次回以降の課題とする。
自宅のオーディオは一旦収束したかと思えたが、以上に挙げたもう1ランク上の価格帯のヘッドホンが必要かと思われる。