1.はじめに
SR-009を購入したため、コンデンサ側のシステムを構築することを目的にこれまで様々な記事で導入機器の検討を行ってきた。今回、最終的にSTAXのSRM-727Aをボリュームパスとして運用し、音量調節をLUXMANのコントロールアンプであるC-800fで行うよう構成したので、選定理由と音質について述べる。
2.SRM-727Aの導入経緯
SRM-T8000とSRM-727Aでどちらを採用するか悩んでいたが、以下の2点のことを考慮した結果、SRM-727Aの採用に至った。
・SRM-T8000の真空管はメンテナンスの頻度としては5-7年で良いものの、発熱と寿命の観点でかなり扱いに気を遣う。ダイナミック側のシステムでも電源を数時間つけっぱなしは普通だったため、コンデンサ側でも同じように扱いたい。
・「SRM-T8000」の価格と「SRM-727A+コントロールアンプ」は同等の価格。SR-009専用にSRM-T8000を導入するよりも、コントロールアンプを導入し音質向上を図りながら将来を見据えてパワーアンプ、スピーカ等用に拡張性をもたせておいた方が安心。
3.C-800fの導入経緯
コントロールアンプは予算的にAccuphaseのC-2420とLUXMANのC-800fとで選択を悩んでいた。
各メーカの音の特性を調査したところ、Accuphaseは正確さを主とし、大きな味付けはせず緻密な印象を受けた。対してLUXMANは音にメスを入れ、程良い派手さを交えた音作りをしている印象を受けた。個人的には曲に対して坦々とせず、飽きのないボリュームのある音を好みとしているため、どちらかというとLUXMANの方が合っていると思われる。
また、DAコンバータやヘッドホンアンプ等はLUXMANの製品を使っていることもあり、ある程度メーカーは統一してシステムの一貫性を出していきたいこともあった。正直Accuphaseの製品形態を一から全て把握することができず、個人的によく関わりのあるLUXMANの方が製品知識としてはあったため、フルバランスに対応したC-800fを選択することとなった。
4.現状のシステム
現システムを図に表すと以下のようになる。本記事で取り扱っているコンデンサ側のシステムは、図の右側である。DA-06でアナログ変換された信号をラインセレクタであるLS-X0iでダイナミック側のP-700uとコンデンサ側のC-800fに随時切り替えられるようにしている。
5.SRM-727AとC-800fを組み合わせた音質
SRM-727Aのボリュームパスを使用し、SRM-727AにC-800fを接続して音を聞いた感想を述べる。
結論から言うと、C-800fを介さずにSRM-727A単体で聞いた場合と比べて、音の広がりが格段に向上した。
SRM-727A単体の使用だと、「ダイナミック側のシステムで聞いた音の解像度が向上した音」が鳴りつつも直接音が耳に届く感じがあったため、ダイナミック側との大きな差別化が図れなかった。
しかし、C-800fとSRM-727Aを組み合わせた場合は、量販店の試聴時と同じように「最高の音質でどこから音が鳴っているのか分からない」状態となり、求めていた音質に辿り着いた。
具体的に言えば、ヘッドホンを装着しているのにも関わらず、音が頭の周りを包み込み、空間が支配されている印象を受ける。よく例えられるコンサートホールにいるような感覚である。
※余談だが、SRM-727Aとは別にC-800fにLUXMANのP-700uを接続し、ダイナミック側での音質向上も狙ってみた。P-700uにはボリュームパス機能はないため、C800fのボリュームとP-700uのボリュームを2段階で介す形となる。結果は「C-800fを介さない方が良い」ことが分かった。やはり、ボリュームを2回通すことによって音質は劣化している印象を受けた。ボリュームパス機能が無いヘッドホンアンプには、アナログの入力から出力まで単一のシステムとして機能を任せておいたほうが良いことを実感した。
6.まとめ
本記事では、コンデンサ側のシステムを構築するにあたっての導入経緯を紹介し、実際にLUXMAN C-800fとSTAX SRM-727Aを組み合わせ、SR-009で音を聞いた際の感想を述べた。
ダイナミック側とコンデンサ側のシステムが充実し、ヘッドホンオーディオは一旦終着点に達した。本システムの構築に至るまでネットの情報を頼りに、時には量販店へ足を運び試聴を行った。一般のオーディオに特化した店舗は敷居が高く、店員とのコミュニケーションが密に図れなければ私のようにネットで自ら情報収集を行うしか方法はない。
今後はスピーカーへ目を向けていくことになるが、導入に至るまではまだまだ時間を要する見込みである。パワーアンプやスピーカーの知識もまだ無いため、引き続きオーディオに関しての情報収集は行っていく予定である。