おうまさん

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Panasonic ドラム式洗濯機で全方位シャワーが出なくなったので自分で直した話

1. はじめに

 私は自宅でPanasonicの「Cuble NA-VG1300L-P」というドラム式洗濯機を運用している。1年9ヶ月前に、パナソニックドラム式洗濯機における機能の1つである全方位シャワーが一切出なくなるという事象が生じ、サポート経由で修理をしていただいた実績がある。具体的には、全方位シャワーのモータ音が全くせず、シャワーも出ずにドラムだけが回り、運転は継続されるというものである。

 ドラム式洗濯機の修理は公式サポート経由で依頼すると、混み合っているという理由から保守作業員の到着まで2-3週間ほど時間を要し、修理代も「出張費+技術料+部品代」という内訳で約15000円以上が掛かると想定され、自力で修理を行うメリットがあると考えられる。従って今回は前回の故障から再度、同じような事象が発生したためサポートではなく、自力で修復することとし、結果的に修理が成功したので本記事にて事例を紹介する。

 

2. 故障の内容

 前回の故障の経緯から説明する。2019年にCubleを購入し、運用していたが約3年後に運転中、全方位シャワーが出なくなった。ここで言う全方位シャワーとは、洗いやすすぎ時に「ウィーン」というモータ音とともに衣類側へ内側に噴射される約7箇所のシャワーと泡吹き出しシャワーの両方を指す。なお、故障前に以下の事象が発生した。

・全方位シャワーが出る瞬間、一部の吹出口から水が出ない(ホコリで一部塞がれていた為)

・全方位シャワーが出る瞬間、グゴゴゴ...と異音が発生する

 

上記の症状が見られたことにより、ホコリを取るなどの暫定対処を実施したが、次の運転時から全方位シャワーが一切でなくなった。なお、洗濯から乾燥までの運転は途中で止まることなく最後まで継続されるため、UエラーやHエラーは出現せずに運転自体に問題はないが、シャワーが出ないため洗いとすすぎが機能として完全ではない状態にある。

 そもそも、全方位シャワーとは公式サイトによると循環ポンプにより水を循環させて7箇所ほどのシャワー吹出口から水を噴射させ、泡吹出口からもシャワーが出るイメージである。具体的な図を以下に示す。

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引用元 : https://panasonic.jp/wash/products/cuble/washing.html

3. 故障原因の特定

 前回のサポート経由での故障においては結果的に、循環ポンプ(AXW8C-9CW0)がうまく動作できていないことが原因であった。シャワーが出なくなる場合は、ホコリやゴミが詰まって逆流し詰まって道中のホースに穴が空いて水が供給されなくなったり、前回の事象のように循環ポンプ(モータ)にゴミ等が詰まって作用しなくなるようだった。前回はモータ音が全くしなかったために、循環ポンプの故障であるという判断がなされた。

 今回の故障においても循環ポンプのモータ音がしないことから、全く同様の事象が発生していると想定し、2章で述べた循環ポンプに相当する部品に問題があると考えた。ただし、前回は循環ポンプ内にゴミが詰まっており、パナソニックの保守作業者がポンプから詰まったゴミを除去したものの、モータが作動せず、部品自体の交換となった。

 従って今回の自力修理に先立ち、一次切り分けとして循環ポンプ内にゴミが挟まっているかどうかをはじめに確認し、まずは除去して動作するかを確認することとした。もし、除去して動作しなかった場合は単体の循環ポンプの部品(約5000円)をインターネットより取り寄せて、部品交換を行うことで修理を行う計画を立てた。

 自力で修理できる見込みを立てた理由としては、前回の故障時にパナソニックの保守作業員の作業内容を立会いながら過程を拝見し、ドラム式洗濯機の構造がシンプルであったことや、故障部位が前回の事例で特定できたことで、スムーズな修理が自力でできると考えたためである。

 

4.自力での修理事例

 今回はCuble NA-VG1300L-Pを事例に簡易的に分解を行い、修理を行った。自力で修理を行うことはリスクを伴い、使用されている部品も製品ごとに差異が見られると想定されるため、自己責任での施行が前提となる。

※4-1を実施する前に必ず脱水を行うこと

 4-1 排水付近のカバーを外す

 カバーを手前に引き、上図の赤丸で囲った黒い棒を意識して右の方に力を加え、ズラすようにスライドさせるとカバーごと取り外すことができる。

 4-2 ネジ止めされているカバーを外す

 上手の赤矢印で示したネジ止めされている部分を外すことによって白いカバーを外すことができる。カバーを外す際は、上部分がツメのように入り込んでいるため、下に押さえながら引くことでカバーを外しやすくできた。

 

 4-3 電子基盤を外し手前に引く

 上図の赤矢印に該当するネジを外すことで型に固定された電子基盤を外すことができる。ハテナ付きの矢印は、ネジ止めされていたか不明な箇所。関係しそうなネジを外すことで取り出すことができるのでよく確認されたい。なお、電子基盤の灰色部分の上下ネジ2つは基盤自体のカバー止めのため、今回の修理において外す必要性はない。

 電子基盤は分解すると大変なことになるため、型からはずしたら手前に引いて横に倒す形にしておくことが無難である。今回の修理においては、循環ポンプが見える状態で周辺の作業場所が確保できればよい。電子工学専攻でない自身からしてみれば、関係のない部分は触らないことに限る。

 

 4-4. 循環ポンプのゴム管を外す(1)

 電子基盤を手前に倒すと、いよいよドラム式の機械部品が見える。2章で示した画像とほぼ同等の位置に、円上の循環ポンプが存在する。まずは上図の赤矢印において、循環ポンプと繋がっている黒いゴム管を外していく。金属のクリップをゴム管の上にずらし、つなぎ目の根本を指で押さえてゆっくりと上へ引き抜いていく。

 

 4-5. 循環ポンプのゴム管を外す(2)

 4-4.と同様に、上図の赤矢印で示したゴム管を外す。

 

 4-6. 循環ポンプのネジ止めを外し、残りのゴム管と完全分離させる

 上図の①からネジを外していく。②は正面から見ると裏側に隠れているため、プラスドライバの位置を確認しながら下から覗き、感覚でネジを外していく。最後に③のゴム管を根本を指で押さえながらゆっくりと外し、循環ポンプを土台から完全に分離させる。③のゴム管は循環ポンプ側のみ片側を外せばよい。

 

 4-7. 循環ポンプと繋がっている電子線コネクタを取り外す

 上図の赤矢印で示しているコネクタは、循環ポンプと繋がっている。ツメを押しながら引くことで取り外すことができる。これまでの手順により、循環ポンプを完全に独立した状態でメンテナンスすることが可能となる。

 

 4-8. 循環ポンプの状態の確認

 自身の場合、上図のように循環ポンプの中を覗き込むと内部にホコリが詰まっているように見受けられた。竹串でホコリを取ろうとすると、更にホコリの中に輪ゴムが縮れた状態で入っており、循環ポンプのモータ駆動部を完全に阻害している状態が確認できた。

 これにより、モータ音がしない理由は内部のゴミが原因であると考え、取り除いたあとに部品を洗濯機へ一旦もとに戻し、モータが正常に作動するようになるか動作確認を行うこととした。

 

 4-9. システムテスト

 4-4から4-7で行ったことを逆からやり直し、仮の状態で循環ポンプを設置し、動作確認を行う。洗濯機の電源を入れ、循環ポンプのモータ音が作動し、全方位シャワーが駆動することを確認する。テスト項目の観点としては、

・正常に循環ポンプが作動していること

・全方位シャワーが内側に噴出していること

・変更を加えたゴム管周辺に関し、水漏れが発生していないこと

が挙げられる。

 ここで変化がないようであれば脱水ののち、循環ポンプを新たに購入して4-4から4-7を再度実施し、部品の入れ替えを行う。自身の場合は4-8で行ったゴミの除去が根本原因であったため、部品の入れ替えなく課題を解決することができた。

 

 4-10. 現状回復作業

 4-1から4-3までに行った分解作業をもとに戻し、ネジ止めをしっかり行った上で再度システムテストを行う。テスト項目の観点としては、

・正常に循環ポンプが作動していること

・洗濯機駆動時にエラーの表示がなく、正常に次の処理が進むこと

が挙げられる。

 

5. 作業の振り返り、再発防止策、作業品質分析

 前回のパナソニック保守作業員が行っていた断片的な作業内容の記憶から、自力で試行錯誤をして作業を推進したが、特に問題は起こらず計画された範囲の作業の中でスムーズな作業を行うことができた。作業にあたって必要な器具は100均のプラスドライバ1本であり、低価格で品質の高い作業が行えたことは自信に繋がった。

 しかし、循環ポンプ内にゴミが入っていたことは非常に残念であった。前回の故障時の再発防止策として設定したホコリ・ゴミの除去に対応するための純正クリーナのN-W2による洗濯槽の洗浄を定期的に実施していたが、今回のように障害が再発してしまった。原因として、排水ゴミフィルタの清掃が疎かになり、排水フィルタから溢れ出た一部の大きなホコリが循環ポンプに入り込み、モータ駆動がゴミによって阻害されたと推測した。これにより、以下の新たな再発防止策を設定した。

・月に1回は排水ゴミフィルタの定期清掃を行い、循環ポンプ回りを清潔に保つ。排水ゴミフィルタの清掃においては、ゴミ取りフィルタを排水フィルタに設置し、掃除しやすい環境を創出する。

 

 品質向上に向けた課題としては、2点ある。

 1点目は製品に応じた循環ポンプの型番の特定が難しいことである。今回は、前回の事例から製品に応じた循環ポンプの型番(AXW8C-9CW0)について当たりをつけることが可能であったが、最新の製品や古い機種における循環ポンプの型番について、よく調査の上、自力修理を検討しなければならないと感じた。

 2点目は、循環ポンプ以外の故障原因であった場合に思考が停止するリスクがあることである。今回はたまたま前回と同じ事象で循環ポンプに障害が発生していたが、異なる部分で不具合が発生した場合は公式のサポートに頼り、知見を深めるしか方法はないと感じた。ダメ元で該当の部品を購入しても空振ることで逆に出費が無駄になるリスクも想定される。故障内容に応じた立回りを事前によく検討する必要があると感じた。

 

6. まとめ

 今回は、自力でPanasonicドラム式洗濯機の全方位シャワーが出力されない障害に対する是正保守作業を行い、実際の作業過程について記事内に示した。

 今回品質の高い作業が行えたのは前回のパナソニック保守作業員の作業内容を理解していたことや、前回の経緯をブログに残していたことで自力で対応するにあたり綿密な計画が立てられたことも大きいものと考えられる。このように、専門外の分野においても技術者に対しリスペクトを行い、その分野に対して理解を深めることで自分自身に吸収して幅広く柔軟な対応が行えたことは非常に良かった。まさに技術を目で見て盗む、技術者の初心に返った立回りが行えたことは自身に対し評価する。

 今回の記事で示した障害と同様の内容で困っている方や、今後ドラム式洗濯機における全方位シャワーに関連した修理を検討されている型向けに情報提供ができれば幸いである。

 

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