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普通賃貸借契約における更新時の家賃値上げ拒否の交渉術

1. はじめに

 普通賃貸借契約において、2年で更新を迎えることが多いが、更新時に貸主から「家賃の値上げ」を借主側に請求されることがある。本記事では、管理会社を経由した貸主との家賃値上げに関し、拒否する交渉術を3つの段階に分けて記載する。段階に分けて記載する狙いとしては、断りづらい方も対象にしていることや急激に断固拒否をしても相手方に良い印象を与えないため、様子をうかがいながら段階的に交渉を行うことを目的としているためである。

 本記事に記載する方法で、自身としても「段階②」の時点で拒否が成立し、更新時も家賃の据え置きが決定したため実例がある。なお、拒否をする理由として自身は不動産業界をぼったくり市場と考えており、個人に対し十分な説明なく数万円~数十万円規模の金額を安易に請求する実例が多く、顧客へのサポートや営業手法が乱雑なケースが多く見られているからである。

 

2. 交渉の段階① 「疑問を投げかける」

 家賃の値上げ理由としては「物価高、地価変動、固定資産税の改定」を理由にされることが多い。その際に家賃の値上げを我々借主に要求されるが「値上げの承諾は必須で受け入れなければならないのか」や「こちらとしては据え置きでの家賃を希望したい」と返答する交渉を第一歩とする。なぜならば、借主には契約条件の変更を受け入れる義務がないからである。自身としては、電話で上記のやり取りを行ったところ「お願いをしている」という返答で義務ではないことを確認した形となった。

 注意点としては、極稀なケースだと思われるが貸借契約書に更新に関する特記事項があれば、この記載の対象外となる懸念があるため事前に確認しておくことが望ましい。

 貸主や管理会社がはじめに検討することはコスト削減策の検討であり、定期清掃の頻度削減などの人件費や無駄な費用を削ぎ落とした最適化を考慮した上で借主への家賃変動を依頼するべきと考えている。しかしながら、自身は家賃値上げの要求を受けた際にそのような背景は見られなかった。なぜならば、当初管理会社からの「3000円の値上げはどうか」との要求に対して断りを入れたところ、「では1000円の値上げでお願いできるか」といったアンカリング効果を彷彿とさせる提示がなされた。ましてや貸主が礼金を受け取っている中でこのような「とりあえず借主に負担させよう」という動きに対しては拒否が適切であるとの考えを持っている。

 

3. 交渉の段階② 「価格据え置きであれば更新する」

 交渉の段階①で据え置きでの家賃更新を求めつつも、貸主による家賃引上の意欲が強い場合は、交渉の段階②に進むこととなる。ここでは、「更新料」といった大家や管理会社にとって貴重な収入源となる材料を用いて交渉する。実際に交渉した例としては、「家賃の据え置きでなければ退去を見据え、更新するかは時期を改めて検討する」という回答を行った。または、直接「据え置きの賃料であれば更新したい」という意志を伝えるとよいだろう。

 世の中にはいくらでも良い物件は存在する。現住居にこだわる必要はないため退去を見据えることは嘘ではない。更新するかどうかは賃料次第で決定する意志を示すことで、更新料の獲得または空家による家賃収入の減少を防止したい大家や管理会社は、賃料値上げの方向性をこの段階で留める可能性がある。

 自身はここで管理会社より、賃料据え置きで更新する旨の連絡をもらい値上げの拒否に至ったが、仮に交渉がうまく行かなかった場合は次に示す段階の内容で交渉しようと考えた。

 

4. 交渉の段階③ 「法定更新」

 更新には合意更新と法定更新がある。貸主と借主で合意した内容であれば合意更新となる。しかし、交渉が決裂したり更新手続きの案内がない等で契約更新に関する同意が契約終了までになされなかった場合は法定更新となり、従前の契約と同一の条件で契約を更新する形となる。定期借家契約には適用されないため、本記事では普通賃貸借契約に限定している。

 更新時に借主から過度な家賃値下げを要求したり、借主側の更新手続き無視による法定更新の悪用は裁判となり得ることで認められない場合があると考えているが、今回の記事においては貸主からの一方的な家賃引き上げの要求であることから、交渉を重ねる上で法定更新の交渉は最終手段となる手になるだろう。交渉の際には段階②の内容と併せて、「法定更新または退去を見据えつつ、賃料の結果によって更新するかは検討する」旨を伝えると効果的であると想定する。

 法定更新となった場合、期間のない賃貸契約となることから更新料の支払いが有耶無耶になることとなる。賃借契約書に「合意更新・法定更新共に更新料を支払うこと。」の記載があれば、法定更新でも初回は更新料を支払う必要性があると思われる。なお 例外として、契約の自動更新が行われる旨が賃借契約書の記載にあった場合は法定更新ではなくなるケースもあるようだが、賃料の値上げには至らないため本記事の目的は達成している。

 このように段階②と同じく、貴重な収入源となる更新料の支払いについて法的に圧力が掛かるなど借主保護の制度を交渉の材料とすることができる。

 

5. まとめ

 今回は、貸主から「家賃の値上げ」を借主側に請求された場合の拒否する交渉術を三段階に分けて示した。いずれにせよ、事前に賃借契約書の更新に関わる記載を理解しておくことで交渉を有利に進めることが可能である。

 本記事では、賃料値上げの背景となる材料の提示が薄く、十分にコスト削減策の提示がなされていないことが顕在化していたため交渉による拒否を実施し実例を示した。賃料値上げの妥当性に理解を示す方は、承諾しても構わないと考えているが、そのようなケースは少ないと思われるため、一方的な賃料値上げに不満を持つ借主に対し、本記事が参考となれば幸いである。

 

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