1. はじめに
現在、自宅の環境は上流から下流までLUXMANの機器で構成されている。これまで音質向上に寄与しやすい電源部分のグレードアップに取り組んできたが、ケーブルによる音質の味付けも必要と考えた。そこで以前、本ブログにてXLRケーブルであるLUXMAN JPC-10000を導入し、その音質を確認し印象を述べた。その記事の投稿直後にJPC-10000の上位ケーブルである「JPC-15000」が新たに発売されていた。
自身の環境では現状、JPC-10000の他にも一部の機器でBELDEN 1192AのXLRケーブルを使用している接続がある。そこで更なる音質のグレードアップのため、今回新たにJPC-15000導入に至ることとした。したがって本記事ではJPC-15000を適用した後と、これまでの1192AやJPC-10000との音質の変化について述べる。
2. 概要
JPC-15000は、7N-Class D.U.C.C.を芯線に用いていることが特徴のケーブルである。XLRタイプのほかにも、ラインケーブルとスピーカケーブルが同じ15000シリーズとして用意されている。D.U.C.C.を用いたケーブルの特徴として、参考文献の中には「D.U.C.C.導体を使ったケーブルの音は情報の欠落がなく、エネルギー感やボリュームが上がった」という報告がある。*1
ケーブル自体の太さについては、自宅で使用しているケーブルの中でも最も大きいものとなった。また、端子はノイトリック社製であるが、JPC-10000より着脱が非常にスムーズで15000シリーズは、高品質なパーツが凝縮されている製品であると感じた。
3. 接続環境
今回は、以下のパターンで音質を確認した。P-700uに接続するヘッドホンとしては、音質の変化が顕著に出やすいFocal Utopiaを代表とした。
①ES-1200 -- DA-06 --(BELDEN 1192A)-- P-700u -- Utopia バランス
②ES-1200 -- DA-06 --(LUXMAN JPC-10000)-- P-700u -- Utopia バランス
③ES-1200 -- DA-06 --(LUXMAN JPC-15000)-- P-700u -- Utopia バランス
※なお、DA-06/P-700uには電源ケーブルのJPA-15000、ES-1200にはJPA-20000を適用しているものとする。静電型についてはプリアンプを介するため、今回は省略とする。
4. 比較試聴
3.で示したダイナミック型の構成で聴いた際の印象を述べる。
①ES-1200 -- DA-06 --(BELDEN 1192A)-- P-700u -- Utopia バランス
②ES-1200 -- DA-06 --(LUXMAN JPC-10000)-- P-700u -- Utopia バランス
③ES-1200 -- DA-06 --(LUXMAN JPC-15000)-- P-700u -- Utopia バランス
③のJPC-15000では、輪郭がより鮮明となり一回り空間が大きくなったように感じた。遠くの方で鳴っている音は違和感なく耳に寄り添うようにかつ丁寧・繊細に鳴らすようになり空間表現がより自然になった。
それと共に、中低音が前面に出て迫ってくるような感覚で曲の付帯音が程よく分離されていることが分かった。これにより、曲自体の臨場・躍動感もより感じられるようになり、LUXMANらしい音をより活かすことが可能となった。また、高いキーのギター部分はこれのでシャカシャカしており頭の中で反響する形であったが、だいぶ緩和され落ち着いた。
②のJPC-10000の基本的な性能については「中低域の味付けと緻密で奥行きのある音楽表現」となるが、JPC-15000と比較した場合、音の艶と温かみが若干薄れてしまう印象であった。JPC-15000の適用により、例えば、艶においては弦楽器の音やドラムの音がより原音に近づき、温かみにおいては中低音の層が厚くなり音全体の体積から捉えるボリューム感が増した形となった。JPC-15000は1つ1つの音を崩すことなく、より綺麗に音を表現していることが確認できる結果となった。
①のBELDEN 1192Aでは、前回の試聴時と同様にナチュラルであるがJPC-15000と比較すると立体感は薄れるがボーカルと付帯音のスピードがはやい(キレがある)印象であった。ただし音自体の表現はしっかり分離はしていないため、時に曖昧で付帯音とボーカルが埋もれる場合もあるように感じた。しかし、もともとあくまでもナチュラルに表現するケーブルであるため過度な音楽表現を求めることも酷である。
4. まとめ
今回は、LUXMAN JPC-15000を導入し、これまで機器間を接続していたBELDEN 1192Aと、過去に導入済のLUXMAN JPC-10000との比較試聴を行った。
全体的にエネルギー感やボリュームの向上が期待できるD.U.C.C.は、LUXMANの音色をより引き出しているものと実感した。様々な音楽ジャンルに適用できるケーブルと考えられるが、今回の音質の強化により、特にジャズに没頭できるようになったと感じた。同時に、JPC-10000を適用したときよりもはるかに音質のグレードアップが図れたと感じられた。
今回はダイナミック型のみの適用としたが、いずれ静電型へのシステムに対してもLUXMANのケーブルは順次展開していく予定である。
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